食卓につながる「世界のいま」

海外の出来事は日本の食卓につながっている。中国では電力需給の逼迫が経済成長の大きな足枷になっている。工場を稼働できるのが週のうち4日だけで、3日は製造禁止と電力使用が制限されている。当然生産量は減る。

▼この電力制限は全国的に行われ塩蔵胡瓜や冷凍野菜、グルタミン酸ソーダの工場も決められた電力量しか使えない。加えて大気汚染解消に向けた燃料転換も影響。石炭燃料の禁止により天津の漬物工場では極寒期に従来通り暖がとれず、野菜の選別が停滞。日本の漬物業界にも影響が出ている。

▼アジアの農業で使用される化学肥料の材料はさまざまな国から運ばれる。ウクライナからマレーシアにはリンが運ばれ、マレーシアで加工された肥料をタイの生姜農家が使用する。この肥料がロシアのウクライナ侵攻の影響で高騰している。

▼今年は種生姜が安いが、日本の生姜漬メーカーの多くは「塩蔵生姜原料の価格は下がらない」と見ている。中国やタイの生姜は日本では紅生姜やガリ生姜となって流通する。日本人に身近な食品も「世界のいま」と無縁ではない。