日新製糖・伊藤忠製糖 来年1月 経営統合へ 連結売上 業界第2位に 業界再編の動き活発化

日新製糖と伊藤忠製糖は10日、同日開催された取締役会で両社の経営統合に関する基本合意書を締結することを決議したと発表した。両社合計の連結売上高は単純合算で770億円となり、DM三井製糖ホールディングスの1478億円に次いで業界第2位に躍り出る(いずれも2022年3月期実績ベース)。コロナ禍で砂糖消費が低迷する中、原料・エネルギーコスト上昇により精製糖企業の収益は減速しており、今後も業界再編を通じた生産合理化、収益基盤強化の動きは活発化しそうだ。

経営統合の形態として、日新製糖は、伊藤忠製糖を株式交換完全子会社とする株式交換を行う。さらに、事業承継会社(完全子会社)との間で会社分割を行うことにより日新製糖の事業を承継させ、日新製糖は持株会社となる。持株会社は商号変更し東証プライム市場での上場を継続、事業承継会社は商号を「日新製糖株式会社」に変更する。経営統合の効力発生日は2023年1月1日。詳細は今後設置される統合検討委員会で検討される。

両社はそれぞれの経営資源・ノウハウの集約・再配分を通じて、業務体制・人的資源の最適化、生産拠点の効率化、物流網や原料・資材調達の集約などにより効率的なグループ経営を推進する。また、独自性の高い新素材に関する研究開発や新商品開発を積極化し、砂糖以外の成長分野への取組みを加速させる方針だ。

背景には国内砂糖事業を取り巻く厳しい環境がある。近年の人口減少や消費者の低甘味・低カロリー嗜好により砂糖消費は漸減傾向を続けていたが、一昨年からは新型コロナウィルスの感染拡大影響も加わり、令和元/2砂糖年度の砂糖消費は一気に12万t減少し年間172万t台にまで落ち込んだ。また、昨年は原料や原油価格などが急騰、3度にわたる出荷価格の値上げを実施するも生産関連コストの上昇ペースに追いつかず、精製糖企業の砂糖事業収益は大きく圧迫された。

各社とも、生産合理化による収益基盤の強化は喫緊の課題だが、砂糖消費減少による工場稼働率の低下は、巨大装置産業である精製糖企業にとっては深刻な問題となっている。砂糖需要が大きく改善しない限り、個社の合理化努力によるコスト削減効果に大きく期待するのは難しい。今年10月に三井製糖と大日本明治製糖の合併を控え、精糖業界の危機意識は一層高まっており、今後も業界再編に向けた機運の高まりに注目される。

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