一般財団法人食品産業センターは8日、「令和3年度食品産業における取引慣行の実態調査報告書」を公表した。
調査した要求・要請のうち、「不当な値引き」を除く5項目(協賛金、センターフィー、従業員派遣、買いたたき、過度の情報開示)が過去10年間で最もスコアが低かった。
不当な協賛金やセンターフィーの要請など大規模小売業告示に示されている禁止行為について、同センターは「大きな方向性としては減少傾向」と分析している。一方で、一部の要求・要請に対して「応じる」との回答が増えたほか、協賛金負担では「決算対策の協賛金」が大幅に増加した。製品への適正な価格転嫁の動向を含め「引き続き注視する」としている。
取引上の優位な立場を背景にした「協賛金」の要求は2.2ポイント減の26.3%。多くの業態で減少した一方、ディスカウントストア(3.1ポイント増)やドラッグストア(11.5ポイント増)は増えた。種類別でみると、チラシ協賛金が64.8%と最多で、新製品導入協力協賛金が54.8%、新規(改装)オープン協賛金が42.7%と続いた。決算対策の協賛金は9.1ポイント増の23.4%となり、2年連続で大幅に上昇。食品スーパーやドラッグストアなどで全体スコアを上回った。
PB商品に関する要請では、小売業のPB商品の「製造受託があった」のは60.8%で、前回調査から5.7ポイント減少。「不当であると感じる要請等があった」のは1.1ポイント増の13.5%と微増だった。
具体的には「生産ロットに関する要請」や「NB商品の取引中止や取引数量の減少をちらつかせる」「価格交渉等で不利になる情報開示の要請」など。新型コロナウイルス感染症拡大に関係した要請について「不当な要請があった」のは0.8%にとどまった。
「センターフィー」の負担は6.6ポイント減の33.4%、新店舗オープンや棚替え時の「従業員派遣要請」が1.2ポイント減の18.5%となり、いずれも前回調査を下回った。
しかし、あいまいなセンターフィーの算出基準や根拠への不信感、派遣要請の十分な事前協議不足といった課題も浮き彫りになった。また例年同様、企業の事業規模に比例し、各種要請に応じている実態も明らかになった。
調査は1995年からほぼ毎年実施している。令和3年度分は今年2月、食品製造業1千700社を対象に行い、294社が回答した(有効回答率17.3%)。