値上げ傾向にある食用油やコーヒーにギフト価値 縮小する中元市場にAGFが付加価値商品を続々

 法人向けなど儀礼的な贈答が減り年々縮小傾向にある中元・歳暮ギフト市場で、味の素AGF社は近親者贈答や増加する自家需要といった変化に着目して値上げ傾向にある食用油やコーヒーから付加価値商品を続々と提案している。

 一般小売商品の値上げの動きはギフトの価値を高める可能性がある。

 「昨年の歳暮は、家庭用食用油の値上げがリリースを含めて非常に多く発表されたことでギフトの価値が少し高まり、食用油ギフトが実は好調という逆戻りがあった。この傾向は今年も変わらずギフトとして食用油の価値が見直されている」と語るのは、5月19日発表会に臨んだ瀧川直美リテールビジネス部マーケティング第3グループ長。

「AJINOMOTOこめ油」と「AJINOMOTOアマニ油」を組み合わせた「味の素ブランド こめ油ギフト」(税別3000円) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「AJINOMOTOこめ油」と「AJINOMOTOアマニ油」を組み合わせた「味の素ブランド こめ油ギフト」(税別3000円)

 値上げで一般小売商品の購入を控えようとする一方、ギフトでは“贈りたい”“贈られてうれしい”ニーズが高まっているとみており、中元ではプレミアムや健康を切り口にして魅力を高めたギフトを多く取り揃える。
 コロナ禍の内食機会増加を受けて開発したのは、「AJINOMOTOオリーブオイル エクストラバージン」と「内堀醸造バルサミコ酢」を詰め合わせたギフト。

 「バルサミコ酢の家庭用ニーズは非常に拡大している。オリーブオイルと相性のよいサラダはもちろん肉料理やデザートなどに幅広く利用でき“いつもとちょっと違う特別な雰囲気”が味わえることもバルサミコ酢の需要拡大の一因」とみている。

 健康価値で支持を広げる「AJINOMOTOこめ油」と「AJINOMOTOアマニ油」をセットにしたギフトでは「こめ油」のデザインを刷新して新商品として発売し勢いを加速させる。
 この中で「こめ油」については「ビタミンEたっぷりで脂肪酸のバランスにも優れた健康的な油で、コクと甘みがありクセやにおいが少ないことから家庭用の市場を含めて顕著に拡大している」と期待を寄せる。

「一番搾りなたね油ギフト」(税別5000円) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「一番搾りなたね油ギフト」(税別5000円)

 汎用タイプもギフト価値に環境配慮の要素を加えて進化させる。

 「一番搾りなたね油ギフト」は1本700gの紙容器の「AJINOMOTO一番搾りなたね油」を6本詰め合わせた新商品で、税別5000円で販売している。
 「賞味期限2年で自家需要のストックや贈答にもおすすめ。従来の同容量容器と比較して約60%のプラスチック使用量を削減したほか、注ぎやすいWキャップや持ち手ガイドを付け使いやすさにも考慮した」と胸を張る。

 AGFは食用油・嗜好飲料とともにプレミアムと健康に加えて自家需要と環境配慮を拡大のポイントとみている。

 江村治彦リテールビジネス部長は「贈答者の意識をみると、自家需要の項目が確実に上がっている。それから購入の決め手の変化をみると、環境に配慮した製品といった理由で決められる意識も確実に上がり、ギフトトレンドのプレミアム感・限定感・健康価値のニーズも確実に高まっている」と説明する。

 武岡正樹常務執行役員は人出回復に期待を寄せる。「人の交流の回復が期待できるときに大切な人に感謝の気持ちを伝えるギフトの位置づけも高まっていく」と述べる。

5月19日発表会に臨み「ちょっと贅沢な珈琲店」のゲーブルコーヒーギフトをアピールする武岡正樹常務執行役員(中央)、江村治彦リテールビジネス部長(左)、瀧川直美リテールビジネス部マーケティング第3グループ長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
5月19日発表会に臨み「ちょっと贅沢な珈琲店」のゲーブルコーヒーギフトをアピールする武岡正樹常務執行役員(中央)、江村治彦リテールビジネス部長(左)、瀧川直美リテールビジネス部マーケティング第3グループ長

 AGF調べでコーヒーの21年中元ギフト市場が前年比7%減と推定される中、AGFのコーヒーをはじめとする嗜好飲料ギフトは昨年、プレミアムとパーソナルタイプが好調に推移した。

 瀧川グループ長は「コーヒーについても値上げ基調で贈答意向が高まっており、今中元もそうした傾向が続くのではないかと考えている」との見方を示す。

 プレミアムタイプのコーヒーギフトの目玉は「ちょっと贅沢な珈琲店」のアイスプレミアムギフトと新登場となるゲーブルコーヒーギフト。

 アイスプレミアムギフトでは、コーヒーだけの詰め合わせギフトに加えて、広島県の瀬戸内沿岸の島しょ部で栽培されている温州みかん100%のストレートジュースとのアソートギフトも品揃えしている。

 ゲーブルコーヒーギフトは「ちょっと贅沢な珈琲店」の紙容器アイスコーヒー「エスプレッソ仕立て無糖」と「同 低糖」をアソートしたもので「当社ペットボトル(PET)製品に対して1.2倍以上のコーヒー生豆を使用したアラビカリッチな配合に、高温高圧で複数回じっくりと時間をかけて抽出するAGF独自のエスプレッソ抽出技術を掛け合わせた」。

AGF主力ギフト。「ちょっと贅沢な珈琲店」のアイスプレミアムギフト(右下)とゲーブルコーヒーギフト(左下)、「ブレンディ」ポーション アソートギフト(左上)、「ブレンディ」スティック アイス&ホットオレ ギフト(右上) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
AGF主力ギフト。「ちょっと贅沢な珈琲店」のアイスプレミアムギフト(右下)とゲーブルコーヒーギフト(左下)、「ブレンディ」ポーション アソートギフト(左上)、「ブレンディ」スティック アイス&ホットオレ ギフト(右上)

 紙容器については「ギフトでもよりSDGsへの関心が高まり、流通さまのカタログでもエコ商品の特集ページを組まれる傾向が非常に強まっている。プレミアムとエコといった価値が届けられるような製品として今回導入した」と説明する。

 エコを意識したギフトとしては、昨年2月に発売開始した1L用のスティック入りパウダー飲料「ブレンディ」ザリットルのギフトも登場。

 ザリットルは、スティックの包材の一部に紙素材を使用し大容量PETに比べてプラスチック使用量が94%削減できることと、輸送効率が大幅に改善されて運搬車のCO2排出削減につながることから行政・流通を巻き込んで協力の輪が広がっている。

 ギフトでは、コーヒー・ルイボスティー・緑茶・ジャスミン茶の4種類をそれぞれ5本ずつ詰め合わせた計20本をネコポス対応サイズの化粧箱で展開する。
 パーソナルタイプの嗜好飲料ギフトの目玉は、ポーションとスティックのギフト。

 ポーションギフトは、「ブレンディ」ポーションコーヒー(無糖・甘さひかえめ)の品質に磨きをかけたほか、「ブレンディ」ポーションティーの抹茶オレベースと完熟苺オレベースをアソート。「バラエティ豊かに揃えるとともに、高価格帯へのご要望を受け5000円タイプを新たに導入した」。

 スティックギフトは、中元スティックギフトシェアトップの「ブレンディ」スティックアイス&ホットオレギフトを強化。定番のアイスカフェオレに、アイス宇治抹茶オレとアイス瀬戸内レモンオレを加えた。

 このほか健康のトレンドを踏まえたスティックギフトとしては「ちょっと贅沢な珈琲店」スティックブラックポリフェノールリッチギフトを新発売。
 「エチオピア産の厳選したアラビカ豆100%使用し、1本でポリフェノール550mgがおいしく簡単に摂れるようになっており、ご家族の健康を応援するのに適した健康応援ギフト」と語る。

 中元・歳暮以外の通年ギフトにも取り組む。

 「直近ではLINEギフトに参加したりECモールへの出店を進めたりしている。LINEギフトではお花のカードギフトとコラボした母の日ギフトを展開した。少しずつ中元・歳暮以外のニーズを獲得するべく、まずはプラットホームを開拓していく」。