梅酒・梅シロップ向け青梅が市場に大量に出回り始め、2022年氷糖商戦が本格化している。氷糖商戦は例年、西日本・東日本エリアでは6月下旬まで、東北エリアでは7月まで続く。年間の氷糖需要のほとんどがこの時期に集中する超短期決戦だ。商戦の行方を左右するのは梅の作況。昨年は梅の生育・実太りの状況も良く豊作となったことから、氷糖出荷は3年ぶりの大幅プラスとなった。昨年に続き2年連続の「白星」となるか、氷糖商戦の行方が注目される。
氷砂糖市場は、50%超のトップシェアを占める中日本氷糖を筆頭に、九州地区に強い鳳氷糖、東日本・東北に強い日新製糖と続き、この3社で90%超のシェアを占めている。昨年の梅の収穫は、まれにみる大不作であった一昨年(7万1千t)から一転、10万tを超える豊作となり、氷糖出荷は前年を2千tほど上回る1万5千460tでの着地となった。
中日本氷糖は全国ベースで前年比20%増、日新製糖は西日本・東日本エリアとも前年比20%の増加となった。鳳氷糖は、九州地区を含む西日本エリアの落ち込みが激しかった一昨年の反動で、前年比50%増と最も大きなプラスを記録した。
昨年は、まさに“梅様々”の商戦結果となったわけだが、コロナ禍による巣ごもりがプラスに影響したことも間違いない。また「おうち時間を手仕事で楽しむ需要が根付いている」(中日本氷糖)ことから、梅の季節だけに依存しない氷糖需要の全般的な底上げも進んだようだ。
今年の梅は、最大産地の和歌山県(南高梅)の生産は平年割れを見込むが、昨年の豊作により梅干し加工向け在庫は潤沢にあるという。梅酒・梅シロップ向け青梅としての出荷は昨年水準を上回ると予想されており、商戦の大きな支援材料となろう。
また、コロナ収束後も「巣ごもり」「家飲み」などのライフスタイルは定着している。最近では、梅以外の果物を漬け込むフルーツビネガーやレモンシロップなどの人気が徐々に高まっており、梅の季節をとらえた催事売場での関連陳列も活発だ。
氷糖商戦の結果はここ数年、2年続けてのプラス達成が難しい状況。昨年のハードルは決して低くないが、出荷量1万5千tレベルの死守に向けて、氷糖3社の一層の奮起が期待される。