みその原料は問題が山積している。原料大豆の6割近くを占める米国産大豆は価格の高止まりが続き、MA米は米国産が急騰して最高値を更新した。直近のさらなる原料高を受けて、業界から「近い将来の再値上げもやむなし」の声が出始めている。
シカゴ大豆相場は2020年秋から上昇し、現在も高止まりの状況にある。今年4月の平均価格1ブッシェル16.823ドルは、高騰前の20年8月の平均価格9.0394ドルと比べて約86%の上昇となっている。
ロシアのウクライナ侵攻により植物油の需給が逼迫、大豆需要のさらなる高まり、南米の乾燥懸念が世界的な供給不安につながっていることなどから4月には一時17ドル台となり、史上最高値を記録した12年以来の高値水準となっている。
また、Non-GMO大豆の価格は、京浜着港の相場(オハイオ)が4月末現在で1t15万円前後となり、20年8月以前の9万円前後と比べて67%程度上昇している。
直近も中国の旺盛な需要が続き、輸入量も拡大基調にある。またバイオ燃料需要も底堅く、世界需要は拡大する見通しだ。このため今年産の米国大豆は史上最高の生産量を見込んでいるが、需給逼迫は継続するとの見方が大勢となっている。
また、みそ製造に使用されるMA米は米国産がさらに急騰し、最高値を更新。今年4~6月長期販売の価格は、米国産が1t17万4千円(前回から2万8千円上昇)、タイ産が9万4千500円(前回から400円上昇)だった。
米国産は干ばつの影響で国際相場の高値が続き、輸送費などの高騰、円安進行もあり、輸入価格は昨年3月まで1ドル110円ほどであったものが、昨年9月に150円と高騰し始め、今年3月では179円と大幅に上昇している。21年産の生産量は18%程度減少し、米国産の価格は厳しい状況が続きそうだ。
近年の急激なコストアップに伴い、みそ業界では今年に入って有力メーカーが相次いで製品価格の改定を表明し、今春から価格適正化を進めている。しかし、足下も原料高が続き、近い将来に再度の価格改定も十分あり得る状況となっている。