漬物の素や米こうじ製品を手掛ける厚生産業の前3月期売上高は、前年を若干下回る着地となった。漬物の素では、近年のぬか漬けブームとコロナ初年度の巣ごもり需要で数字を伸ばしたぬかカテゴリーの反動減が大きかった。甘酒・こうじ関連は一昨年に引き続き苦戦。ただ、新年度に入ってからは復調の兆しも見られるという。
ぬか漬けの素では、主軸商品の「コミローナ 熟成ぬか床」やネット専用商品「冷蔵庫で育てる熟成ぬか床」シリーズなどで反動減が見られた一方、「コミローナ ラップdeカンタン ぬかチューブ170g」(以下ぬかチューブ)は二ケタ増と好調に推移した。
「冷蔵庫で育てる熟成ぬか床」は、初心者向けの「スタートセット」が大手通販サイトのぬかカテゴリーでランキング1位を獲得するなど売れ筋上位で安定。さらに補充用の「たしぬか」も好調で、「母数はまだ小さいものの前年比3倍の売れ行きを見せた」(里村俊介専務)という。
「発酵食品をかんたんに作れるチューブシリーズ」は、20年春に発売した「ぬかチューブ」に続き、21年秋に「コミローナ おうちdeかんたん キムチ用チューブ150g」を追加投入。さらに今年3月には、第3弾として東北の代表的な塩こうじ漬け「三五八漬」が簡単にできる「コミローナ 和えても漬けても麹チューブ160g」を発売するなど、ラインアップ拡充を進めている。
今春は、粉ぬかタイプの「ぬか漬けの素600g」(希望小売価格税抜200円)も3月に発売。唐辛子などを配合した味付けいりぬかで、「熟成ぬか床」の「たしぬか」としても使用できる。
一方、甘酒・こうじ関連では、市販用は販売ボリュームの大きい「お米と米麹でつくったあまざけ1L」が苦戦したものの、高付加価値タイプの「すっきり飲める腸活甘酒RP125㎖」は二ケタ増。セレクト雑貨店で新規採用を獲得するなど、同商品のターゲット層に刺さる売場での展開に弾みをつけた。
甘酒商品については数年前のブーム定着以降は漸減傾向が続いているが、「今期の出足は悪くない」(同)とのこと。量販店が今夏売り込み強化の動きも見せており、それに合わせて拡販。業務用では原料供給やOEMなど、顧客ニーズに沿った提案を進める。
今期は「新規性・付加価値の高い商品開発・投入」と「利益体質強化」を両軸に、売上高前年比105%を目指す。