焼酎のおいしさ武器に「タカラらしさ」で勝負 大衆酒場の世界観強化 宝酒造

「タカラ 焼酎ハイボール」で辛口チューハイ市場をけん引する宝酒造では、強みとする焼酎を生かした開発でソフトアルコール(RTD)カテゴリーにさらに磨きをかける。

同社の中核事業である和酒(焼酎・日本酒)は引き続き市場の縮小が見込まれるなか、今後も成長が期待できるソフトアルコールの開発を強化。カギは「タカラらしさ」だ。

村田謙二社長は17日の事業方針説明会で「和酒ナンバー1のポジションを活用しながら、技術力、商品力、ブランド力をさらに向上させ、持続的な成長と飛躍を目指していく。ソフトアルコールでは、強みである焼酎のおいしさを最大限に生かした宝酒造らしい商品を開発・育成する」と述べた。

村田謙二社長(宝酒造) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
村田謙二社長(宝酒造)

「焼酎ハイボール」の21年販売数量は約5%増(1千604万ケース)。今年は1千800万ケースを目指す。

コロナ禍を背景に家飲み機会が増えるなか、ゆっくり楽しめる度数5%のチューハイ需要が拡大しているとみて、7%が中心の同ブランドでも5%のラインアップを強化。また限定品の定期的な発売で既存ユーザーの期待に応えるとともに、新規ユーザーの獲得を図る。

「たどり着いたら、この辛口」のコピーとともに、大衆酒場の世界観でファンを獲得してきた「焼酎ハイボール」。同社の焼酎がともに歩んできた大衆酒場の世界観をより強力に発信すべく、活字媒体広告やBS提供番組に加えて6月からは地上波でもCMを放映開始。さらにコアなファンをつかみたい考えだ。

また男性的イメージの強い「焼酎ハイボール」に手が伸びない女性層の獲得に向け、昨年9月に発売したのが「タカラcanチューハイ『すみか』」だ。すみきった果実感で甘くない度数5%の缶チューハイ。「かわいいフリして辛口。」のコピーとともに、低アルながら辛口な味わいで20~40代女性にアピールする。「糖質70%オフ」の記載を加えてパッケージを今春から刷新したほか、新フレーバー〈#国産りんご〉を3月に発売。宇垣美里さんが出演するCMや交通広告を展開する。

6月1日出荷分からは焼酎甲類とともにソフトアルコールも価格を改定。主原料の粗留アルコールや諸コストの高騰によるもの。「焼酎ハイボール〈レモン〉」が141円→143円など、4ブランドで1.5%前後の値上げを実施する。

村田社長は「食品値上げが毎日、新聞をにぎわせて環境は変わってきた。世の中の動きはどうあれ、われわれとしては成し遂げるしかない」とする一方、今のところ価格を据え置いている清酒などについても「原料や資材、物流、人件費など上がっているものが多く、価格をどうするかは常に考えていかないかんなと思っている」と述べた。