コロナ禍で苦境に立つ飲食業界を盛り上げようと、京都の老舗料理店と百貨店が立ち上がった。15日、大丸京都店に銘店の惣菜を集めた売場「mosaiq(モザイク)」がオープン。
創業から265年の老舗、二傳(にでん)の山田晃弘専務が同業の飲食店に声をかけ、大丸京都店と京都信用金庫の協力を得て実現した。二傳をはじめ、うらやま京色、京家きよみず、さくらい、一之船入、富小路RAKUの6店舗の惣菜を一皿540円、810円、1千80円(各税込)の3つの価格帯で毎日15~20品目を用意し販売する。買物客はそれらを自由に組み合わせ、購入できる。
今回は5月17日まで約1か月間の限定出店だが、今後は定期的な出店、さらに常設店舗の展開も視野に入れる。
二傳の山田専務は「店と店、店とお客をつなぐプラットフォームにしていきたい」と強調。大丸京都店営業3部の今井良祐部長は「われわれは京都で300年商売をさせてもらい、皆さまの生活をいかに盛り上げるかということに傾注してきた。その考えにフィットする取り組みを支援したい」と述べた。また、一之船入の魏禧之社長は「これが成功すれば、大阪や神戸、さらに全国へと広がるだろう」と期待を示した。
二傳・山田専務の話 コロナ禍で食に関わる日常は様変わりした。気軽に会食することができなくなり、店内での食事が難しくなったため、当店も百貨店のみで販売していた持ち帰りを店舗でも始めた。折詰の完成度は高いが、お客様の好みはさまざまなので、料理ごとに同じサイズの容器に入れたものを最小単位とし、自由に組み合わせて持ち帰りができる仕組みを作った。落ち込んだ売上をすべて補完することはできなかったが、新しいお客様を獲得することができた。
地域の飲食店はどこも同じように苦戦している。同じサイズの容器に入っていれば、どんな店の料理でも組み合わせて1食にすることができる。名称の由来であるモザイク模様のように、お客様のさまざまな好みに応えることもできる。京都にはいろいろな業態の店があるが、お客様の選択肢が失われるのは京都の魅力が失われるということ。「モザイク」を店と店、店とお客様をつなぐプラットフォームにしていきたい。