「ポカリスエット」スポドリや麦茶にはない価値訴求 その最たるものは「日常の脱水への解決手段」 大塚製薬

 大塚製薬は「ポカリスエット」で引き続き一般的なスポーツドリンクや麦茶などの水分補給訴求に寄せた飲料とは一線を画した飲料として、機能価値と情緒価値を伝える活動に注力していく。

 取材に応じた大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業製品部の原康太郎ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャーは、機能価値を伝える取り組みとして「今年も季節・シーンにとらわれることなく、『ポカリスエット』の最たる価値として日常の脱水における解決手段のひとつであることを伝えていきたい」と語る。

 在宅で外出や運動する機会が減少し、発汗シーンも減っているように捉えられがちだが、室内で気づかないうちに脱水してしまうケースがある。

大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業製品部の原康太郎ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業製品部の原康太郎ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー

 同社は昨年から、このような日常課題に対して科学的情報をもとに「ポカリスエット」の有用性を広めていく活動を強化している。

 「ポカリスエット」の機能価値としては、ナトリウムやカリウムなどのイオン(電解質)が、体液に近いバランスで設計されていることにある。

 同社では、日常的に行われる脱水に対して、水分補給の重要性を啓発。

 発汗時、水だけを飲み続けると、体液の濃度を一定に保とうとする身体の働きによって、逆に水分を尿として身体の外へ排出してしまう。その結果、身体の水分量が十分に回復できない自発的脱水が起こりうるためだ。

 同社研究所によるエビデンスの一つに、健康な成人男性12人が水とイオン飲料を飲んだ各グループに分け、2時間安静に座った後に計測したところ、飲んだ量のうち身体に水分が保持された割合は、水で約38%、イオン飲料で約57%という結果がある。

 昨年は、人流回復に伴うスポーツシーンの増加などに加えて、これらの啓発活動が奏功して「ポカリスエット」ブランドは前年を上回って着地した。

「ポカリスエット アイススラリー」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ポカリスエット アイススラリー」

 日常の飲用シーン以外では、暑熱環境下における労働での「ポカリスエット アイススラリー」の飲用に「手応えを感じている」という。

 同商品は、熱中症による救急搬送者が減らないことを受けて、プレクーリング(事前に冷やす)の考えの下、深部体温(体内の温度)に着目して開発されたもの。

 アイススラリー状(液体の中に微細な氷の粒がたくさん混じった粘度の高い)の凍らせた状態で摂取することが可能で、活動前に摂取することによって身体を芯から冷やすことができるのが特徴となっている。

 同社は常温保存の液体を凍らせてスラリー状にする独自技術を開発し、融解後、再冷凍してもスラリー状を再現することに成功し、18年の初年度は、特に暑熱環境下でも作業着や制服の脱衣が困難な消防士などに向けて通販限定で販売。徐々に一般生活者からも身近な販売店での購入を求める声が多く寄せられたことから、20年5月にはコンビニ、スーパー、ドラッグストアなどの流通に取り扱いを拡大している。

「ポカリスエット ラベルレスボトル 300ml」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ポカリスエット ラベルレスボトル 300ml」

 そのほかアイテム別では「ポカリスエット」と「ポカリスエット イオンウォーター」が特に昨年プラスとなり、容器容量では2品ともに定番サイズの500mlPET、900mlPETなど伸長した。

 昨年1月に同社公式通販サイトをはじめとするECチャネルで販発売開始した「ポカリスエット」と「ポカリスエット イオンウォーター」の300mlラベルレスボトルについては「お客様のエコ意識に響いたほか、ラベルを剥がさずに回収に回せるといった利便性が受け入れられ年間を通してリピートにつながっている」と振り返る。

「ポカリスエットイオンウォーター」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ポカリスエットイオンウォーター」

 
 「ポカリスエットイオンウォーター」はサウナシーンでの飲用や認知も広まりつつあり「日常の脱水シーンの1つを解決するものとして展開しており、今後もこの位置づけで取り組んでいく」。

 今年のブランド全体の方針としては、連携協定を結んでいる全国自治体との連携を強化して「日常の脱水への解決手段」としての機能価値を伝達していく。

 これに加えて、情緒価値も高める取り組みとして、若手俳優・中島セナさんを起用した新コミュニケーションを展開し、ブランドの躍動感も伝えていく」と意欲をのぞかせる。

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