缶チューハイ市場の50%を占めるといわれるレモンフレーバー。売場には各社のレモンサワー商品がひしめき、レッドオーシャン化が進む。ここにちょっと意外な角度から切り込んだのがサッポロビールだ。グレープフルーツサワー専門ブランド「サッポロ 三ツ星グレフルサワー」を5月24日に全国発売する。
グレープフルーツといえば、チューハイの中でもレモンに次ぐ不動の二番手。ただシェアでは10%程度にすぎず、王者の圧倒的な存在感の陰であまり注目されないフレーバーだ。各社がレモンのさまざまな特徴を引き出し差別化に腐心する一方、グレープフルーツはあくまでも品ぞろえの一環としての立場に甘んじ、スポットが当たる機会は少なかった。
「RTD本来の魅力は、いろいろな味わいを楽しめること。ブームの今だからこそ、レモン以外も増えてほしい」と語るのは同社ビール&RTD事業部長の武内亮人氏。
「お客様は増えたおうち時間の満足度を高めたいと考え、バラエティーある味わいを求めている。これに対応して拡大したのがレモンサワーだが、今回『もう一つの定番サワー』というキーワードに行きついた」。レモンと並ぶ定番のグレープフルーツフレーバーは、消費の間口・奥行を広げることで現在の倍近くまでシェアを伸ばす余地があるとみる。
発売するのは2品。さわやかな甘酸っぱさとほのかな苦みの〈贅沢ホワイト〉、芳醇な香りと控えめな酸味、上品な甘さの〈芳醇ピンク〉。いずれも度数5%。参考小売価格は350㎖缶150円、500㎖缶210円と、売価100~110円ゾーンが主流のRTD市場で中~高価格帯を狙う。
「現在の市場でグレープフルーツは『ワン・オブ・ゼム』の位置付けだが、当ブランドはオンリーワン。当社RTD事業は専門性の追求が大きなテーマで、専門ブランドとしてRTDの多くの選択肢の中から選ぶ容易性、期待感などを提供していきたい」(新価値開発部・木村亮佑氏)。