業務用調味料で創業、「ちょっと高くても美味しい味」をコンセプトに、家庭用では中華スープ「創味シャンタン」や「創味のつゆ」などで市場の存在感を高めてきた。近年は和洋中全ジャンルの強化に取り組み、昨年春にはパスタソース「Haconese(ハコネーゼ)」を発売。高価格帯では珍しい外装なし仕様と、その分のコストを中身にかけた味わいが人気となり、ヒット商品になった。山田佑樹社長に前期概況と今期の目標について聞いた。
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――前12月期実績とカテゴリー別状況は。
山田 売上高は288億円/前年比102.5%と増収だったが、19年対比では96.3%。広告宣伝費の増加や原料費高騰が重なり減益になった。売上の内訳は業務用174億円/102%、市販用114億円/103%。
家庭用は前年の巣ごもり需要の反動により既存品群が苦戦したが、そのなかでも「創味の白だし」、また中容量の「創味のつゆ」500㎖や「聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢」が好調だった。さらに昨年発売した「ハコネーゼ」のヒットが既存品分をカバーして前年を上回った。一方の業務用は、昨年9月に発売した「創味みんなのカレー」がコストパフォーマンスの良さが受けて新規・既存客ともに好評だった。
海外は業務用ラーメンスープを中心に展開しているが、コンテナ問題で日本製商品の欠品が相次いでいる。このような背景により米国工場に需要が集中し、コロナ禍の影響があったものの海外全体で前年比130%に伸びた。
――新年度の経営方針について。
山田 当初、前12月期は中期経営計画の最終年度であったが、コロナ感染拡大による環境変化を考慮して、計画達成までの期間を2年間延長。23年度に売上高350億円を目標に定めた。今年はコロナ禍の早期収束が前提だが、323億円/112%を掲げて、中計テーマである「和洋中の全ジャンルをカバーする高品質調味料メーカーへ」を目指し、「ハコネーゼ」ブランドの強化を図る。市販既存商品では「だしまろ酢」「シャンタン」「すき焼きのたれ」「白だし」「聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢」を重点商品に販売拡大を目指すとともに、今春発売の「創味のつゆ 減塩タイプ」の浸透に取り組む。
業務用は第6波の襲来で年初より厳しい環境にあり、コロナ禍早期収束頼みの一面があるが、洋食調味料を中心に新規開拓や既存市場のシェアアップを強化。まずは19年並みの基準に戻すことが最重要課題だ。需要が急増する海外へは、工場の増設で対応していきたい。
――重点商品「ハコネーゼ」の販売動向と今後の販売戦略は。
山田 前期販売目標の10億円にはわずかに届かなかったものの、初年度としては一定の成果を上げることができた。商品名の由来にもなった外装箱なしのエコを意識した商品設計が注目されたほか、その分中身にコストをかけた味わいが評価されている。既存3品に加え、第4弾はパスタソース分野で最も人気の高い「ボロネーゼ」を発売。4球目は直球ストレートで勝負して、この分野において確固とした地位を確立したい。