春夏商戦に向けて、全国の乾麺業者を取材している。異口同音に聞かれるのは、ロシアのウクライナ侵攻による原料不足を不安視する声だ。小麦粉、そば粉ともに生産国ロシアの影響は大きい。
▼小麦生産量は世界3位のロシアと7位ウクライナ両国で世界の3割近くを占め、主に中東やアフリカへと輸出されている。国内の乾麺に使われる小麦は北米や豪州産が多いが、近年は干ばつや天候不順、中国の急激な需要増加が相場を狂わせている。そこへ世界的な小麦不足が押し寄せてくる可能性が高くなった
▼一方、そばは原料となる中国産玄そばの価格が3月に過去最高値を更新した。世界最大の生産量を誇るロシア産が滞るとの見方に、北米の転作奨励による減産が重なり、中国産に集中。中国産原料不足を懸念して、国産玄そばの在庫を商社が買い集め、品薄感が強く漂う。まん防解除で飲食店が回転し始めれば、業務用筋の需要も増え、残り少ない在庫の取り合いは必至だ。
▼ロシア侵攻の長期化により、さらなる上昇が見込まれる。原料以外のコストもひっ迫しており、追加値上げで対応しても追いきれない状態だ。かつてない事態に安定供給が危ぶまれ、業界は価格転嫁に待ったなしの状況を迎えている。