定番感×意外性でヒット「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」 和素材ラテ市場を開拓

独自製法による味わいでリピート獲得

2021年3月に新発売された「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」(コカ・コーラシステム)が和素材ラテ市場の開拓に成功してヒットした。同商品は和素材ラテ第1弾の位置づけであることから、和素材ラテ市場の確立に向けて今春をめどに第2弾の投入が予想される。

「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」のヒット要因について、日本コカ・コーラの助川公太マーケティング本部緑茶事業部部長は、「綾鷹」ブランドが持つ定番感と同ブランドからラテが発売されたという意外性が掛け合わさったことが大きいと分析する。

「具体的には『綾鷹だからおいしい』『綾鷹だから信頼できる』といった今まで築いてきたブランド価値にプラスして『綾鷹なのにラテなの?』『綾鷹なのに甘いの?』といった意外性が特に若い世代を中心とした消費者にうまく刺さったと思っている」と述べる。

「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」では発売当時に想定していた20~30代に加えて10代を獲得してブランド強化にもつなげた。

「『綾鷹』本体(緑茶飲料)はどちらかというと40~50代をターゲットにしているのに対して10~30代という『綾鷹』が今までとりきれなかった若い世代から非常に高い評価を得ることができた」と振り返る。

定期的に実施しているブランド調査でもブランド好意度の高まりを確認。「ブランドへの貢献が売上以外のところでもあったと思っている。発売前には『綾鷹』から有糖飲料を発売することで無糖の本体に悪影響を与える懸念もあったが、そのようなことは全くなかったと言い切れる状況になっている」と述べる。

助川公太部長(日本コカ・コーラ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
助川公太部長(日本コカ・コーラ)

若年層のトライアルを獲得して、コカ・コーラ独自製法による味わいでリピートにつなげたことで販売を大きく押し上げた。独自製法で従来のペットボトル製品では実現できなかった多めの分量の抹茶を1本に入れることができ、贅沢な抹茶の風味が楽しめるような中味に仕上げた。

加えて、使用している抹茶は、通常の「綾鷹」で使用しているものよりも大きい粒度の抹茶で、口当たりや味わいを抹茶ラテに最適化。そこに国産牛乳やミルクブースト技術を駆使して上品な口当たりのミルクテイストを実現した。

これには「二液充填」と呼ばれる従来の無菌充填とは一線を画した新・製造プロセスによるところが大きいという。

「味の深みや厚さで差別化が図られ、家庭内のプチ贅沢ニーズを獲得し“自分へのご褒美”のご期待に応えたことが継続購買につながった」との見方を示す。

「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」は、「綾鷹」の新領域チャレンジの一環として開発された。

「綾鷹」の開発に協力した上林春松本店が長年貫いている『伝統と革新で時代を切り開く』姿勢や消費動向を踏まえて、ラテ飲料市場で抹茶という和素材を原料に使うことによって従来からあるコーヒー・紅茶に次ぐラテ第三極の確立を目指している。

その第1弾となる「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」がヒットしたことで第2弾が発売される模様。「シリーズとして次のラインアップを考えていきたい。和カフェ、和風カフェというジャンルが台頭してくると考えている」と意欲をのぞかせる。

日本コカ・コーラは、カフェ(店舗)では和素材を使ったメニューは定番化している一方、5年間で平均5%ずつ成長しているラテ飲料市場で和素材を使った商品の比率は1%未満とみており、このギャップに開拓余地を見込んでいる。