キユーピー 原料高騰への対応急ぐ マヨネーズ・ドレッシング、付加価値化と適量品の提案強化

キユーピーは12日、都内で専門紙記者を集め決算説明会を開催。21年11月期決算説明に加え、22年11月期の見通し、新たな中期経営計画の進捗などについて報告した。

長南収社長は中期経営計画の進捗状況について「初年度は利益体質の強化と新たな食生活創造を経営指標に掲げた結果、ROE、営業利益率、海外売上高伸長率は、おおむね計画以上の結果となった。ROEは当期純利益の回復に加え100億円規模の自己株式を取得したことから、24年度目標である8%以上に向け順調に推移することができた」と成果を述べた。

営業利益率については「海外の成長や市販用の利益改善が貢献したが、主原料高騰の影響により22年度は大変厳しい状況になるだろう」と見通しを述べるとともに、「21年度は鶏卵相場が当初の見込みより若干落ち着いたことから影響は44億円だった。22年度は本格的に食用油の影響を受けるため84億円の逆風になると想定している」と原料高騰の影響を説明した。

国内市場は市販用、業務用ともに「昨年7月に実施した価格改定の影響が第4四半期から表れている」と分析。今後は付加価値製品として登場した機能性マヨネーズの販売強化や、ドレッシングの提案強化、単身・核家族からの購入が多いマヨネーズ350gへのシフトも視野に入れ対応する。

マヨネーズ350gについて長南社長は「マヨネーズを最後までおいしく召し上がっていただけるサイズとして05年に発売した。国勢調査によると、人口減の一方で世帯数は増え、特に単身世帯が著しく増加している。適量サイズの価値を認めていただき、値上げ後も手に取っていただきやすい同製品へのシフトを含め対応したい」としている。

新たな試みとしては、フレッシュストック事業やプラントベース商品のほか、海外でのサラダ商品育成を推進。中国など回復傾向にある諸外国の外食市場では、店内オペレーションの簡素化をサポートするロングライフのたまごサラダやポテトサラダなどのニーズが高まっている。これをチャンスととらえ、ドレッシングとともに拡販につなげる。

海外事業は22年度も二ケタ成長を維持し、引き続きブランド浸透を進める。22年度の海外事業利益は77億円を計画しており、現状のドレッシングなどの販売先であるアジア、オセアニアに加え、欧米での拡販に努め、30年度には売上構成比で4割、利益構成比で5割を目標とする。

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なお説明会には、キユーピー新社長に就任予定の髙宮満キユーピータマゴ社長も出席。次期より相談役に就く長南社長とともに次のように語った。

「経験生かしポジティブに」髙宮キユーピータマゴ社長

87年に入社後、長きにわたり研究開発職に従事し、マーケティングやファインケミカルの仕事にも従事してきた。思えば、2年前にキユーピータマゴに着任した直後から新型コロナウイルスの感染拡大で苦しい思いをした。苦労する中で明かりが見え始めたところで、鳥インフルエンザが発生し二重苦となった。苦労したことにより、自社でやるべきことが見えてきたと思う。今後しばらくは、キユーピーとグループにとって厳しい状況が続くだろう。子会社で2年早く苦労した経験が今後に生かせるはず。食に携わるものとして、どんな時もポジティブで明るく対応することを忘れずにいたい。

ピンチに「変わらねば」長南社長

17年から社長の任を務めてきた。これまで支えていただいたお客様や得意先さまに当社の創業100周年で感謝の気持ちをお伝えできたことをうれしく思っている。直近の2年間は新型コロナウイルスの感染拡大で経営も大きな影響を受けた。しかし、このピンチが『変わらなくてはいけない』と背中を押したのも事実。全社的には海外シフトのスピードを上げる。国内は市場担当制を早期に定着させ、多様化するニーズに対応する。新社長に引き継ぐが、変わらぬご支援をお願いしたい。

北大西洋の豊かな海が育むアイリッシュシーフード