東和薬品 三生医薬を476億円で買収 サプリ事業など多角化

後発薬製造大手の東和薬品は17日、米投資ファンドのカーライル・グループから健康食品や医薬品の受託製造の三生医薬の全株式を取得し、完全子会社化することを決めたと発表した。取得額は約476億円。買収資金は金融機関からの借り入れで調達し、22年2月末までに株式取得を完了する。

東和薬品は第5期中期経営計画で、後発薬をコア事業として健康に貢献するあらゆる関連事業の展開を目指し、健康維持・増進のためのラインアップを強化。中でも新たに、「予防」の観点から健康食品・サプリメントの事業展開を掲げる。

三生医薬は94年設立の受託製造業。20年12月期の売上高は229億円で、売上げの7割を健康食品が占める。静岡県内に4つの製造拠点と5つの包装拠点があり、静岡県と東京都に計3つの研究開発拠点を設けている。中でも南陵工場は国内最大級のソフトカプセル製造拠点であり、年間30億球の生産能力を誇る。

医薬品事業は売上高の1割ほどだが、シームレスカプセル化技術を生かした医薬品を受託製造しているほか、有効成分を含むゲルと不溶性微粒子の外層からなる被覆粒子「ユニオーブ」を開発。同技術により、原薬の弱点をカバーした多様な処方を実現し、これまで困難とされていた成分の配合が可能になる。22年に南陵工場の敷地内に建設予定のイノベーションセンターには「ユニオーブ」専用の製造設備を導入し、ラボスケールから量産までの対応を目指す。

東和薬品では「三生医薬は自社で保有する製剤技術を活用し、顧客ニーズに沿った付加価値のあるスピーディーな製品開発に注力することで、高い競争力優位性を有している。当社グループに加わることで、三生医薬が培ってきた高い技術力や広範な顧客基盤、健康食品関連のノウハウを活用でき、当社の目指す健康関連事業の多角的な展開が実現される」とコメントしている。