コカ・コーラからZ世代向けアルコール飲料 「関西限定」のワケは

世界で拡大「炭酸水+酒」市場に参入

日本のコカ・コーラシステムは、世界で拡大するハードセルツァー市場に参入。新ブランド「トポチコ ハードセルツァー」を関西エリア2府2県(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)限定で9月20日に新発売した。

ハードセルツァーとは、炭酸水(セルツァー)にお酒を加えた米国発祥のアルコール飲料。

この市場にメキシコで125年の歴史を持つ炭酸水ブランド「トポチコ」で参入し、世界では20年9月に南米で発売したのを皮切りに現在は米国・豪州・英国など20か国以上で展開。発売開始から1年を経て日本上陸の運びとなった。

ハードセルツァーの特徴について9月7日発表した日本コカ・コーラのパトリック・サブストロームマーケティング本部アルコールカテゴリーシニアブランドマネジャーは「炭酸水ベースのスッキリした飲みやすさ、フレーバー炭酸水のようなほんのりした甘み、グルテンフリー、比較的低めのカロリーと糖類、4~6%のアルコール度数」と説明する。

ハードセルツァー発祥の米国では、1990年代後半から2000年代前半に生まれたZ世代を中心とした若年層の価値観やライフスタイルに合致して急拡大。その市場規模は約2千700億円と推定され「ビールなどを含むアルコールRTD(アルコール飲料)の約10%を超える見通しとなっている」。

キーメッセージは「決めつけないのがルール」(トポチコ ハードセルツァー)
キーメッセージは「決めつけないのがルール」(トポチコ ハードセルツァー)

Z世代を中心とした若年層の価値観については「お酒をお付き合いで飲むのではなく、従来の価値観や既成概念にとらわれず、仲間と自分好みの味わいで自由に楽しみたいという価値観」との見方を示し、次世代のアルコールブランドとして「決めつけないのがルール」キーメッセージに展開していく。

日本では、20代の低アルコールユーザーが伸長している点にも着目する。

「5千万人いるとされるアルコールRTD飲用者のうち700万人が20代で、この世代は最も平均成長率が高い」と語る。

コカ・コーラシステムでは、飲料事業を主軸としつつ新たな可能性の探索として「ホワイトスペース」と称し清涼飲料水以外の新領域開拓を加速している。

ホワイトスペース戦略では、アジリティ(機敏さ)を重視し、プランニングから商品の全国発売に至るまで1、2年のスパンで動かしていくことを方針としている。

販売エリアや販売チャネルを絞り込んだスモールスタートから開始し、そこで芽が出てきたものを大きく育てていく考えで、その最たる例がレモンサワー専門ブランド「檸檬堂」の成功となる。

「トポチコ ハードセルツァー」も「檸檬堂」にならいスモールスタートで展開する。

「アサイーグレープ」「タンジーレモンライム」「パイナップルツイスト」の3フレーバー(トポチコ ハードセルツァー)
「アサイーグレープ」「タンジーレモンライム」「パイナップルツイスト」の3フレーバー(トポチコ ハードセルツァー)

日本コカ・コーラによると、「トポチコ ハードセルツァー」がターゲットに定める20代は全国に1千300万人存在し東京・神奈川・大阪に集中。「首都圏と関西近畿エリアでみると、関西近畿エリアの若者の構成比のほうが日本全国の若者の構成比により近いことから、日本の若者をターゲットにする上で関西近畿エリアをターゲットにした」と述べる。

今回発売されるのは「アサイーグレープ」「タンジーレモンライム」「パイナップルツイスト」の3種類のフレーバー。

3種類ともカロリーや糖類を抑えたスッキリとしたのど越しとさわやかなフレーバーが特徴で「食事はもちろん、食後のリラックスタイムや仲間との楽しいひとときなど、時間や場所を気にせず気軽にお飲みいただける」という。

355㎖缶で希望小売価格は税別150円。