サントリー食品インターナショナルの第2四半期連結業績(1-6月)は、コロナワクチン接種が進んだ欧州と米州が牽引役となり大幅な増収増益となった。
12日に決算発表した齋藤和弘社長は「21年度のテーマは『アジャイル・トランスフォーメーション』。変革を迅速に行い、想定を大幅に上回る実績を出すことができた。当社の主要市場で着実にマーケットシェアを拡大し戦略の方向性が正しかったことを改めて確信することができた」と語る。その手応えの最たるものが各地の定番ブランドとなる。
1-6月販売数量の前年同期比は、「伊右衛門」(日本)11%増、「TEA+」(ベトナム)17%増、「VEnergy」(オセアニア)19%増、「Schweppes」(フランス)18%増となり軒並み市場の伸びを大幅に上回った。

この動きについて齋藤社長は「定番ブランドの強さがさらに顕著になった。行動抑制が続く中で、真っ先に思い起こしていただけるブランドによりお客さまの信頼が高まる傾向がみてとれる」との見方を示す。
エリア別では、欧州と米州が、3月以降ワクチン接種が進み行動制限が緩和されるに伴い大きく好転した。
売上収益は為替中立で、欧州が1-3月に11%減だったのが4-6月に43%増(1-6月16.2%増)、米州が1-3月に9%増だったのが4-6月に30%増(1-6月19.6%増)へそれぞれ拡大し、セグメント利益も大幅増となった。
これには行動制限緩和に伴い店頭活動を一気に増やしたことが奏功したという。「『需要の蓄積』と言われているが、旺盛な需要にずっとフタをされ我慢していたことが、いい意味での反動になり、この動きが欧州と北米で顕著にみられた。どのような状況でもやれる範囲で店頭活動を続けていくことが優位性につながると大きな学びになった」と振り返る。
一方、アジアについては「今年に入りコロナ変異株で苦労し、昨年良かったところが相対的に少し悪く見え、今後、注意深く傾向を見ながらやっていかないといけない」と述べる。
世界の製品トレンドとしては、引き続きコロナでストレス解消やリフレッシュといった“右脳需要”に着目する。
「コーヒーの需要が世界中で増え、エナジードリンクも引き続き伸長している。在宅時間が長くなると、その中でのストレスマネジメントや気分転換にわれわれが持つ多様なポートフォリオがはまってくれた」と述べる。

消費の都市集中から地方分散への動きについても継続するとみている。欧州では、都心のカフェ・バールから地元のカフェ・バールへのシフトが起きており「欧州の業務用は昨年とても苦労したが、身近なところでの活動に目を向けたこともあり、ようやく上向いてきた」という。
同社の第2四半期連結業績(1-6月)は売上収益が9.3%増の6千38億3千500万円、営業利益が69.1%増の604億100万円、税引前四半期利益が69%増の593億4千300万円、四半期利益が52.5%増の405億800万円となった。
通期は売上収益が6.9%増の1兆2千600億円、営業利益が9.2%増の1千50億円を計画。
「22年にはコロナ前の19年の水準を超すべく努力していく。既存ベースの営業利益については19年水準を1年前倒しする。すなわち本年度での達成を目指して取り組んでいく」と意欲をのぞかせる。
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