砂糖 コロナに揺れる“3蜜” 分蜜糖は消費量が大幅減

よもやよもや分蜜糖(精製糖の総称)の年度消費量がコロナ禍で総需要の6%(約11万t・農水省)も減少するとは砂糖業界のだれも予想していなかったはずだ。「想像以上に脆かった」(製糖幹部)と言うように、直近3年度で約9万2,000t減少し、中規模工場1つ分の需要が消失して危機感をあらわにしたばかり。それが1年で3年分以上の需要が減少。崖の底に不時着したようなものだ。徐々にGo To キャンペーンで業務用砂糖(市場構成比87%)も回復したと思ったら、「第3波」で時が戻っている。

砂糖はユーザーも広いため、経済全体が活発に動いてくれる方が良い。それが真逆の展開が春先から続き、4月の砂糖販売は約15%減(業務用、家庭用合算・精糖工業会調べ)、5月はさらに悪化して約18%減(同)。特に業務用の5月は前年比約20%まで減少した。業務用と言っても飲料や菓子、調味料など加工食品向けも含まれるため、外食向けだけの影響ではない。ただ、旅館・ホテル向けの需要は激減。インバウンドでも菓子関係は盛況で、それがほぼゼロになった影響はかなり大きい。

生産も都合が悪い。特に液糖(糖分含む液体=蜜)は、飲料業界向けの重要商品であり、工場の基礎稼働率を支えている。しかし、出歩く人が減れば需要も減る。特に缶コーヒー、PETコーヒーはコロナ影響で金額ベース12%減、数量はそれ以上。特に自販機がダメ。売れたのは“鬼滅缶”だけという悲惨な状況だった。当然、液糖の生産量も落ちて製糖工場の稼働率も下がる。そもそも今夏は東京オリンピックが開催されたはずであり、スポーツ飲料向けなど例年より多い出荷を見込んでいた。それがなくなり、さらにそこから大きく減少する最悪の展開となっている。

また、含蜜糖(黒糖類などの総称)は分蜜糖ほど消費量が減ったわけではないが、沖縄黒糖は3年連続の豊作で在庫問題もあり積極的に拡売しなければならない大事な時期だった。それがコロナで一時休止。今は沖縄県が主催するオンライン商談会で販路を模索する日々だ。

砂糖業界は平成時代に消費量が約28%減少し統合再編を繰り返してきた。今3月にも業界トップの三井製糖と大日本明治製糖が経営統合を発表。それに日本甜菜製糖も資本業務提携を行う。「コロナが再編議論を早めるだろう」(別の製糖幹部)と、他の組み合わせも前倒しされるかもしれない。

また、悪者扱いされることも多い砂糖だが、いわゆる白糖類には国産糖(北海道のてん菜、沖縄・鹿児島のさとうきび)の保護財源(約500億円)が売価に反映されている(糖価調整制度)。北海道の輪作体系を守り、沖縄・鹿児島の数々の離島における主要産業を保護している。しかし、国内の砂糖消費が減れば輸入糖が減り財源資金の負担が高まる。すると競合甘味料(異性化糖、加糖調製品、高甘味度甘味料)にさらにシェアを奪われるという悪循環をコロナが加速させている。砂糖業界は全甘味原料での財源の公平負担などを訴えてきたが、急激な砂糖消費の減少で糖価調整制度の破綻も囁かれる段階になっている。