中四国スーパー 1人勝ちのハローズ 増税翌月にプラス転換 19年度業績

中四国に展開する上場スーパー6社の前2月期決算は唯一、既存店売上げが前年を上回ったハローズが増収増益となり“一人勝ち”を印象付けた。

6社の中ではマックスバリュ西日本の連結業績も増収増益だったが、これはマルナカ、山陽マルナカとの統合によるもので、マックスバリュ西日本単体の売上高は5%減、営業利益は63%減と厳しい結果であった。

リージョナル大手のイズミとフジは、いずれも増収減益。新規出店もあったが既存店が前年を下回り、売上げは微増にとどまった。天満屋ストアとリテールパートナーズは減収減益。よって、ハローズが唯一の増収増益と言える。

昨年は夏場の低温と暖冬、消費増税など小売業は多くのマイナス要因に見舞われた。なかでも増税の影響は大きく、10月の既存店売上前年比はイズミが9.3%減、フジが6.3%減、MV西日本が9.5%減と大幅ダウン。その後、減少幅は縮まるものの、新型コロナウイルスの特需が起こる前の1月までマイナスでの推移が続く。

対照的にハローズの既存店売上げは10月でさえ1%減にとどまり、11月には早くも2.8%のプラスに転じる。その後も前年割れすることなく2月、3月はいずれも7%前後伸長した。

増収の理由は早期の増税対策である。同社では増税を見据え、すでに5月から売上げ確保を狙ったポイント施策の強化に着手。ポイント値引が増えたことで、営業総利益率が若干悪化したが、競合各社を悩ませる既存店の客数は下期、一度も前年を割ることがなかった。そこに新設4店舗の売上げが上乗せとなり、増収に寄与した。

利益面においては、販管費が人件費増やシステム投資のため前年を上回ったものの、売上げの拡大に加えチラシ回数や電気代の削減により6社の中で唯一、売上げに対する販管比率を下げることができた。同社は今期も6店の新規出店と3店の大規模改装を予定し、増収増益を計画する。

ただ、この計画には新型コロナウイルスの影響は加味されていない。イズミも今期の業績に関しては「未定」としており、その他各社もコロナを業績予想に織り込まないなど、先行きの不透明感は拭えないままだ。