エナジードリンクが活性化 ストレスフルな世相を反映

ストレスフルな世相を反映してエナジードリンクが活性化している。エナジードリンクは、スポーツ・音楽・文化活動への協賛で築き上げてきたブランドの世界観で若者を惹きつけているほか、受動喫煙防止条例が4月から東京都で全面施行され喫煙への風当たりが日増しに強まる中、タバコに代わるストレス解消や気分転換の受け皿になって拡大を続けている。

富士経済によると19年エナジードリンク市場は800億円強の見込みで、販売数量に換算すると約1千900万ケース(本紙推計)となる。

この中で勢いづいているのが「モンスターエナジー」で昨年は2割強伸長したとみられ過半のシェアを占めるまでに拡大した(本紙推計)。一方、「レッドブル・エナジードリンク」は昨年、前年を割り込んだ模様だ。

「モンスター」を高く支持するのは10~20代の若年層。製造販売を担うアサヒ飲料の岸上克彦社長(3月23日付で取締役会長に就任予定)は「エナジードリンクが健康の対局にあるもではなく、自分の気持ちを豊かにしてくれるものと受け止められており、今後も引き続き伸びていく」との見方を示した。

この考えの下、同社は群馬工場に約33億円を投じて製造ラインの新設と生産設備を増強し、これまで外部委託していた「モンスターエナジー」の製造を内製化した。

対するレッドブル・ジャパンは3月3日に新フレーバー「レッドブル・エナジードリンク ホワイトエディション」をコンビニで先行販売するなどして巻き返しを図っていく。

参入も相次ぐ。コカ・コーラシステムは昨年7月から「コカ・コーラ エナジー」、同10月から「リアルゴールド ドラゴンブースト」を発売している。

サントリー食品インターナショナルもかねてからエナジードリンクに挑み続ける中、今年は新手のアプローチを繰り広げる。その1つが3月17日に新発売する「サントリー アイアンボス」で、ターゲットに定めるのはストレスが多いであろう30~40代の働く人。

今まで飲み切りサイズの「ボス」のショート缶コーヒーで“一服バリュー”を追求してきた同社は、「アイアンボス」でその一服バリューを超えたベネフィットを提供していく。

柳井慎一郎常務執行役員食品事業本部ブランド開発事業部長は「大きな時代背景としてはストレスフルな時代ととらえている。以前であればお酒やタバコで解消していたのが、無意識のうちにそれらの代替としてエナジードリンクがはまってきている」と語った。

同商品は「ボス」ブランドではあるが、中味はコーヒーではなく、ビタミンB群、アルギニン、カフェインに加えGABAを配合し、味わいも“王道”のエナジードリンク味に仕立てられている。

エナジードリンク市場(単位:億円 / 出典:富士経済)
エナジードリンク市場(単位:億円 / 出典:富士経済)

エナジードリンクには、ストレス解消以外に効率的なエネルギー補給の側面もある。この点で各社が注目するのはeスポーツ市場で「レッドブル」や「モンスター」などのエナジードリンクをはじめ、コーヒーやゼリー飲料などもアプローチを強めている。

eスポーツの市場規模は世界で1千億円強とも言われ、日本はその5%に満たないものの17年頃から急成長を遂げている。

この市場に対し、大塚食品は昨年、ブレインスポーツドリンクという新カテゴリーの創造に向けてeスポーツプレーヤー向けの炭酸飲料「e3(イースリー)240㎖缶」を開発。昨年9月からAmazon.co.jpで発売開始し、拡大の要望を受けて4月20日から販路を全国の全チャネルに拡大する。

「e3」はeスポーツプレーヤーと共同開発され、カフェインに加え、速攻と持続のエネルギー源であるブドウ糖とパラチノースの2種類の糖の甘みに炭酸をきかせている。

好調に推移する「コカ・コーラ エナジー」の今後についても「若者がコミュニティーとして参加するアセットにエナジードリンクはフィットする。それはeスポーツやダンスかも知れないが、次のプランを考える際にはそのようなファクターが大事になってくる」(日本コカ・コーラの島岡芳和マーケティング本部炭酸&エナジーカテゴリーバイスプレジデント)とみている。