コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)は、製造設備の強化と物流拠点やセールスセンターの統廃合などに取り組み、将来に向けた基盤を構築している。
その背景についてブルース・ハーバート執行役員SCM本部長は、CCBJIが全国12ボトラー社から統合を繰り返して設立された経緯にあるとし「過去20年を振り返っても、インフラ面でそんなに大きな投資が行われてこなかった」と語った。
基盤構築は、老朽化したインフラの刷新と、缶容器からペットボトル(PET)容器へのシフトといった市場環境の変化に対応していくことが主眼にある。加えて、昨年7月の西日本豪雨で被災した本郷工場(広島県三原市)再建の意味合いも込められている。
最新無菌充填ラインは既に稼働しているものも含めて20年までに計7本が稼働する。
京都工場は2月28日に「新しい技術を取り入れ従来とは異なる充填方法で製造する」高速充填ライン(3号ライン)が稼働し、10月1日にはお茶とコーヒーの製造ライン(2号ライン)が加わった。
熊本工場は小型・大型兼用のライン(1号ライン)を立ち上げ3月25日に阿蘇の天然水を使用した「い・ろ・は・す天然水」の製造を開始した。
来年は白州工場(山梨県北杜市)の老朽化したラインを刷新して1月に稼働させるほか、蔵王工場(宮城県)では新ラインを増設し5月の稼働を予定している。
被災の本郷工場、世界クラスの飲料製造拠点に
さらに被災した本郷工場は広島新工場へと生まれ変わり6月に2本の新ラインが稼働する。場所は被災地から高台にあるシャープ三原事業所跡地に移転。居抜きで取得した建屋の一部を改修して広島新工場として新設される。本郷工場の跡地は物流拠点として活用される。
広島新工場に新設される2本のラインは超高速ラインで「最新の充填技術が導入され革新的な製品を市場に出すことができる」という。
充填以外にも、品質・環境・安全などすべての指標でグローバル基準を満たした「世界クラスの飲料工場」となる。
製造面の新しい取り組みとしては、埼玉工場で9月16日、コカ・コーラシステムで世界初となるアルコール飲料「檸檬堂」の生産を開始。
同社は、大規模なサプライチェーンネットワーク改革を企画・推進する目的で社内外広範囲に人材を採用し、16年5月に「新生プロジェクト」と称する組織を新設。課題である製造品の保管能力増強のため、高密度高能力な最新自動化設備をメーカーと共同開発し物流業務および輸配送効率化を実現して工場生産量拡大に取り組んでいる。
レイモンド・シェルトン執行役員IR&コーポレートコミュニケーション本部長は「営業所が多すぎると非常に非効率で多くの商品を保管しないといけない。新生プロジェクトとは小さいDC(倉庫)と小さい営業支店からの脱却であり、製造拠点に近い中央化された場所に保管することで保管拠点を減らし直送を増やしていくのが狙い」と説明した。
昨年から今年にかけて東京エリアの営業支店の一部を統廃合。一方で、11月12日には白州工場の敷地に新設した最新式の大型自動倉庫(白州倉庫)が本格稼働した。
白州倉庫は、白州工場と直結し、500㎖PET換算で約3千200万本(約2万4千パレット)の保管能力を持つ。必要在庫量を従来の半分以下の空間で可能にしたのが特徴で、20年1月に稼働予定の熊本倉庫も白州倉庫と同じコンセプトで設計される。
21年春には、埼玉工場敷地内にコカ・コーラシステム国内最大の6万パレット保管容量と製品出荷能力を持つ大型物流センター「埼玉メガDC」が竣工する。
これにより同社のセールスセンターやハブで行う仕分けなどの物流業務や在庫保管スペースを埼玉メガDCに集約し効率化を図っていく。
通常は、セールスセンターなどの中間拠点で仕分けを行いルートカーと呼ばれるトラックに積み込んで取引先や自販機に配送するが、埼玉DCではすべて荷造りを完了させることで、中間拠点での作業負担を削減する。
これを実現させる新技術がカスタマーオーダーピッキングシステムと自動ハンドリング制御システムとなる。
一般的には一つのパレットに1種類の商品がケース積みされるが、新技術によりカスタマーのオーダー別にケース単位で仕分けを行い、一つのパレットに複数種類のケースを積み重ねて出荷できるようになる。
仕分けは21台のアームロボットが行うことで省人化を図り、必要人員はメンテナンス要員など100人程度と想定している。