米菓市場はここ数年、堅調に推移してきた反動もあり、昨年度においては小休止状態となった。それでも大幅に市場を拡大してきたことを考慮すれば、前年実績を確保するだけで健闘しているといえよう。ただ、今年度に入って、初の大型連休や大阪サミットなど社会的に大きな催しがあっても、需要の拡大には至っていない。
新潟大手4社の前年度実績は、最大手亀田製菓が国内米菓事業において0.7%増と微増ではあるが前年をクリアしたことからも察せられるように、引き続きシェアをジワリ拡大している。営業利益段階でも1.8%増の増益を達成し、主力定番商品の販売強化策が奏功した。
同社は「グローバル・フード・カンパニー」を掲げ、国内米菓以外の比率を50%以上に引き上げる2030年度までの中期経営計画構想を抱く。尾西食品に続きマイセンなど、米関連の異業種グループ化を進める。一方で、昨年度は初のグループ1千億円に到達し、今年は柿の種の前年比+7%成長、せんべい系3品の価格政策継続などで国内米菓事業のさらなる拡大を図る。
トップ亀田に猛チャージをかける三幸製菓は今年3月末まで1年間で541億円を売り上げた。ベスト5商品は24枚雪の宿サラダ、16枚チーズアーモンド、90g粒より小餅、11枚丸大豆せんべい、36枚ぱりんこ――である。「三幸の柿の種 梅ざらめ」が大幅に伸長。新規事業として位置付ける小麦粉由来のかりんとうでは、3種類の味が楽しめる「ミックスかりんとう」が好調に推移する。
3番手岩塚製菓は、今年新たに中計「プライド・BEIKAプラン」で北米圏、アジア圏拡大目標を公表した。新潟に数十億に及ぶ巨額投資で「BEIKA LAB」を新設し、伝統米菓と新ジャンルによる成長にチャレンジする。
賞品施策においては、構成比4割強を占めるトップ6(黒豆せんべい、味しらべ、田舎のおかき、大人のおつまみ、かきもち、ふわっと)への集中を図り、2020年3月期連結の純売上高目標は236億円、営業利益4.8億円(営業利益率2.0%)を掲げる。
栗山米菓の前年度売上高は192億円と前年イーブンとした。主要ブランドであるばかうけがやや伸長し、特にアソートとごま揚が牽引する状況が続く。瀬戸の汐揚は、CM投入効果の後押しもあり、大きく伸長した。星たべよのブランドトータルはやや縮小するも、大袋、アソートは伸長している。スタンダードな渚あられは、醤油、塩ともに大きく伸長しており、特に西日本での店頭露出は高い傾向がある。売上げ200億の到達は目前だ。
以上、新潟大手4社の動向はいずれも中長期的な拡大志向を鮮明にしている。価格競争はトップ2を筆頭に依然として激しく、収まる様相がなかなか見えない状況である。
ただし、菓子界を取り巻く、物流費、資材費、人件費等々のコストアップの波は確実に押し寄せてきており、生産効率化だけではいずれ限界もくるだろう。まずは大手が価格適正化を図り、日本を代表する和の菓子としての多種多様な米菓文化を存続することに尽力してほしい。