統一取引先コード ファイネットが管理承継 ユーザーに無償開放

食品業界で長年課題となっていた事業所識別コードの標準化が本格化しそうだ。メーカー−卸間VANのファイネットは今年9月、酒類食品全国コードセンター(通称・SSZCC、運営・野村総合研究所)が手がけてきた「統一取引先コード」の付番管理業務を承継。同社のEDIサービスを利用するすべてのユーザーが同コードを無償で利用できる環境を整える。これにより、主に酒類業界で使われてきた同コードが食品業界全体の標準コードに発展する可能性が出てきた。

事業所識別業務 標準化へ

統一取引先コードはメーカー・卸の各拠点や小売店舗に付番される全8桁の事業所識別コード。キッコーマン、国分グループ、ビール各社らが酒販店直送指示の精度アップなどを目的に1964年に創設。酒類業界では現在もEDI上での事業特定のキーなどに広く用いられている。付番事業所数も約43万件と多く、酒類免許を有する製配販のほとんどの事業所を網羅しているとみられる。

こうして酒類業界で同コードが全面的に普及したのに対し、食品の製配販三層には標準的な事業所識別の仕組みがいまだに存在しない。00年代には国際標準コードのGLN(Global Location Number)を業界標準に位置づけるべく、メーカー・卸間で活発な議論が行われたが、不調に終わった。SSZCCが統一取引先コードの迅速な普及を目的に売り手サイドによる得意先コードの代行登録を認めていたのに対し、GLNの国内管理団体である流通システム開発センターは、各事業所による自発的なコード登録を求めたためだ。

これによって小売店などにGLNが付番される可能性が薄れたことで、食品系のメーカー・卸は自社独自のプライベートコードによって仕入先・販売先を管理する従来型のオペレーションを引きずり続けることになった。このため、受発注・出荷案内・販売実績報告などの企業間EDIでは、相手先のプライベートコードを自社のプライベートコードに変換する手間とコストが恒常的に発生している。

ファイネットが統一取引先コードの管理機能を担うことで、こうした標準不在に起因するコスト問題もようやく解決に向かいそうだ。統一取引先コードは既にスーパーなどにも付番されており、現状でも食品メーカーなどのニーズに一定程度対応できる。また、無償で同コードを利用できるのはファイネットユーザーのみとなるが、メーカー−卸間EDIに占めるファイネットのシェアは70%を超えており、EDI化を進めるほとんどの企業が恩恵を受けることになりそうだ。無償開放を境に酒を扱わない小売店舗へのコード代行登録が進めば、メーカー・卸サイドの利用価値が向上し、短期間でデファクトスタンダード化が進む可能性もある。