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飲料系飲料業界初 麦茶の濃縮缶 サントリー、2つの課題に着目

業界初 麦茶の濃縮缶 サントリー、2つの課題に着目

サントリー食品インターナショナルは業界初となる缶容器入り濃縮タイプ麦茶を16日に新発売する。商品名は「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ」(180g缶)。1缶を水に注ぐだけで好みの濃さに合わせて1~2ℓの麦茶が10秒で簡単につくれる。

麦茶飲料は緑茶飲料などと比べて大型ペットボトル(PET)の比率が高いのが特長。同社調べによると麦茶市場は大型PETとティーバッグの併用層が6割を占め、今回の濃縮缶はこの層に向けて開発された。

11日都内で発表した五十嵐享子食品事業本部ブランド開発事業部部長は「お子様のいるご家庭だと1日3、4ℓ飲まれていることが分かった。1日3、4ℓとなるとPET・ティーバッグの併用が非常に多く、PET・ティーバッグ両方の悩みを解決するものとして開発した」と語った。

大型PETは“持ち運びが大変”“家庭でストックしきれない”、ティーバッグは“抽出するまでに手間と時間がかかる”が麦茶を取り巻く課題。12ℓの麦茶の場合、2ℓのPET6本(1ケース)が濃縮缶(6缶)に置き換わることで重さは10分の1に軽減。家庭内の省スペース化も図れる。使用後もPETに比べてラベルを剥がすといった手間が省け、かさばらずに置いておける。ティーバッグに対しては10秒でつくれる点が強みとなる。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
五十嵐享子部長(サントリー食品インターナショナル)

好みで濃さを変えられるが、味わいは「PET商品と原材料は同じで、PET商品とほぼ同じ味」。飲用シーンもPETと同様を想定。大型PETとのカニバリについては「用途によってはあると思うが、2ℓPETに置き換わるのであれば、それがニーズになるので、そのニーズを掴んだ上で戦略はまた変わってくる」。

“あーっというまに2リットル”をコピーに掲げて店頭販促とコミュニケーションの両輪で訴求していく。

同社推計によるとPET麦茶市場は14年から4年で約2倍の8千万ケースに拡大し「このままの伸長率でいくと21年には1億ケースを超える規模になる」とみている。

“心とカラダにやさしい”が最大の強み 「GREEN DA・KA・RA」

「GREEN DA・KA・RA」のブランドビジョンは“親子を笑顔に”。コアターゲットは子育て女性だが「単なるターゲットの話ではなく、親が子を想うようなやさしさを商品に込めて、親子以外の方にもこのやさしさが波及するような世界を目指している」。

カテゴリーの垣根を越えてこのブランドビジョンを志向していく考えで、「やさしい麦茶」と機能性飲料の「GREEN DA・KA・RA」本体を2本柱に「すっきりしたトマト」「まぜまぜスムージー」の野菜・栄養カテゴリーを展開している。

共通するコアバリューは“心とカラダにやさしい”。「機能(カラダ)がありながらも、やさしさ・愛嬌があるといった情緒的なワードが出てくるのが最大の強みだと考えている」。

アイテム別では「やさしい麦茶」は濃縮缶の発売に加え、パーソナルPETで冷凍兼用ボトルを採用する。「GREEN DA・KA・RA」本体は昨年、「夏場に向けて増量し売上げを伸ばし、特に男性の間口が“スッキリ飲める”という評価を得て拡大した」。これを受け今年は、600㎖の増量サイズを継続。本体の派生品としては「塩 ライチ&ヨーグルト」を発売する。12年から展開している全国の小学生らを対象にした水分補給の啓発活動は継続していく。

「まぜまぜスムージー」は牛乳を混ぜることで簡単につくることができる野菜果実のスムージーで3月に発売したところ「計画を上回って推移している」。子どもにスッキリ目覚めてもらうことにも踏み込み「まぜまぜスムージーの唱」を公開している。

同ブランドは6年連続成長し同社の中で4番手のブランドに成長。18年販売数量は前年比24%増の3千770万ケース。その内訳は「やさしい麦茶」2千140万ケース、「GREEN DA・KA・RA」本体1千370万ケース、「すっきりしたトマト」260万ケースとなっている。

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