三菱食品は冷凍品の入荷業務を合理化する。卸への配送を従来のバラ積みからパレット積みに切り換えるメーカーに対応し、積み替えを行わずにパレットのまま入荷する。既に神奈川県の横浜金沢低温DCで大手メーカー4社のパレット積み納品を受け入れており、荷卸し・検品等の業務負荷を大幅に縮めている。今後も全体最適を視野に受け入れを強める方針だ。
製配双方に高いメリット
横浜金沢低温DCは手狭となっていた湘南低温DCに代わって昨年11月に設立された新鋭冷凍物流拠点。延床面積は8千650㎡強と、近年の食品卸の中核拠点としてはやや小振りだが、約12万ケースの在庫能力を持ち、神奈川・東京のスーパー32社・410店舗への配送を一手に手がける。想定取扱高も約150億円と大きい。
業界初導入の冷凍マルチシャトルシステムを使った店別自動仕分けなどで徹底的な省人化・省力化を図り、生産性とスペース効率を大幅に高めているのがポイントだ。賞味期限表示の自動読み取り機能を持つ入出荷用ハンディターミナルなども他拠点に先駆けて取り入れた。
これら業務フローの改善により「通常のセンターの3分の2程度の人員(1日40~50人)で拠点全体を動かせる」(物流オペレーション本部横浜金沢低温DCセンター長・佐々木弘一氏)という。この余力を生かし、周辺他センターの既存業務も段階的に引き継いでいる状況だ。
その一環として今年2月には既出メーカー4社のパレット積み納品を受け入れていた南大沢低温DC(東京都八王子市)の一部業務も継承した。ドライバー不足や長い荷待ち時間がサプライチェーンの共通課題として浮上する中、メーカーとともにその対策に取り組む全体最適推進拠点というポジションも担いつつある。
メーカーから卸へのパレット積み配送は酒類・常温加工食品で一般的に行われているが、市販用冷凍食品やアイスクリームなどの冷凍品は現在もバラ積みが主流だ。このため、荷積み・荷卸し等の作業負荷が高く、ドライバー不足に喘ぐ運送業者に敬遠されるケースも増えている。
その対策として先のメーカー4社(冷凍食品3社、アイスクリームメーカー1社)は三菱食品に10t車によるパレット積み納品への切り換えを要請。卸拠点の荷待ち削減や検品合理化にも直結することから、三菱食品もこれを前向きに受け入れた。従来のバラ積み方式では荷積み・荷卸しにそれぞれ約2時間を要していたが「パレタイズ化により、各々30分程度に短縮された」(佐々木センター長)という。
この成果を受け、横浜金沢低温DCは今後もパレット積み納品の受け入れを拡大する方針。同センターの10t車用バースは2か所と少ないが「入荷時間帯の調整などで柔軟に対応していく」(佐々木センター長)。この取り組みを通じて冷凍品でもパレタイズの機運が高まる可能性がある。
ただし、常温品並みの普及率に達するには相当な時間を要しそうだ。レンタルパレット最大手の日本パレットレンタルは昨年から冷凍食品およびアイスクリームメーカーに活用を強く呼びかけているが、実用化に至ったケースはまだ少ない。メーカー側の工場・営業倉庫でパレット積み付け装置等の設備投資が必要になるからだ。そのスピードを上げていくためにも、食品卸などは常温品で蓄積されたパレット積み方式の定量効果を整理し、冷凍品メーカーに提示していく必要がある。