昨年のサイバー攻撃被害からの回復が進むアサヒビールでは、再始動への狼煙を上げる。これを象徴するビールの大型ブランドを4月に発売。「スーパードライ」「マルエフ」、そして昨年発売の「ザ・ビタリスト」とともにスタンダードビール4ブランド体制で、10月のビール類酒税一本化を迎え撃つ。
「みなさまへの感謝を胸に、復旧・復興・再始動を行う。逆境をばねに、サイバー攻撃前よりも強いアサヒビールにしていこうと考えている」。
2月25日の事業方針説明会で、松山一雄社長=下写真㊨=が宣言した。出荷に制約が残っていたSKU数は、4月までにほぼ復旧する見通しだという。
流れを変えて反転攻勢に転じるべく、スタンダードビールの新ブランド「アサヒ ゴールド」を4月14日に発売する。「スーパードライ」に使われている酵母を使用し、麦芽100%による麦の旨みとすっきりした後味を両立させた生ビール。350㎖/500㎖、オープン価格。アルコール度数5.5%。
「消費者の味覚多様化が進み、スーパードライだけではカバーできない。王道ど真ん中のビールとしての楽しみ方をご提案する」(松山氏)。
「スーパードライ」今年はヤマ場が3回

主力「スーパードライ」では、昨年好評だった「冷え」の提案を春から強化し“再始動”をアピール。キンキンに冷えた生ビールが楽しめる常設型のブランド体験拠点を本社ビル横にオープンするほか、冷涼感を生み出すホップを使用した数量限定品も発売する。
さらに夏には大規模マーケティングや限定品を投入するのに続き、秋の酒税改正に合わせたブランド刷新も計画。戦略投資により、例年は春だけだったビールのヤマ場を年3回作る計画だ。
「スーパードライは日本の消費財ブランドでナンバー1。その強みを一言でいえば、消費者との圧倒的な接点。発売以来、累計1600億杯飲んでいただいている。心から『うまい』と言っていただけるようバリュー経営を展開していく」(同)。
同社ビール類のポートフォリオを価格帯別にみると、昨年に家庭用の缶が登場したプレミアムイタリアンビール「ペローニ ナストロアズーロ」、発泡酒の「クリアアサヒ」なども揃える。ただ松山氏は「(ビール類酒税統一で)税率の平等性も担保されるので、価格ではなく味やブランド、こだわりでセグメンテーションされるべきだ」との考えを強調する。
サントリー、キリンが相次ぎ打ち出した発泡酒の“ビール化”には追随しない方針とみられ、いわゆる価格帯別マーケティングとは一線を画す戦略のようだ。

