小川珈琲のエシカルコーヒーが急拡大している。
2025年11月19日、取材に応じた小川珈琲の宇田吉範社長/CEOは「フェアトレードに象徴されるエシカルカテゴリのコーヒーは急速に拡大しESG経営を重視するレストラン・ホテル・オフィスからの引き合いが急増した」と語る。
これにより業務用事業は著しい成長を遂げ、前期(9月期)は「近年到達した売上高100億円の水準をさらに成長させることができた」という。
業務用市場は、インバウンド需要の拡大に加えて外食市場全体の活性化が追い風となったほか、パートナーとの協業を一層強化したことが奏功した。
「この1年は業務用卸における大口取引先との関係を深耕し、BtoB市場において新たなステージを切り開くことができた。これは、当社が長年取り組んできた持続可能性を重視した事業展開と密接に関連している」と語る。
同社は今期の9月始めから「Forever with Coffee~未来もコーヒーと共に~」を標語に長期戦略を描き、コーヒー生産者と信頼関係を深め、生産地の自然環境・経済・社会環境の改善に協力することに重きを置き持続可能なコーヒーサプライチェーンを目指している。
「小川珈琲店 有機珈琲シリーズ」などの家庭用(BtoC)事業については「堅調な成長を遂げた。業界全体が値上げや商品規格の見直しを迫られる厳しい環境にあったが、当社は売上高を大きく伸ばすことができた」と振り返る。
家庭用の好調要因には、「小川珈琲店シリーズ」の品揃え強化や、価値観を共有できる流通企業のPBの製造を受託しスーパー・量販店をはじめとする小売店での顧客接点拡大に成功したことを挙げる。
グループ会社の小川珈琲クリエイツが手掛ける直営店事業も好調となった。
「グループ全体で一体となったブランド価値の発信を背景に、安定した集客を実現した。原料高騰への対応を迫られる厳しい局面もあったが、機動的な価格改定を行い、これをお客様に受け入れていただいたことで原料高騰の影響を最小限に抑えることができた」と総括する。
今期、中期経営計画2年目を迎え、「揺るぎない基盤と挑戦する創造力」をテーマに掲げ事業を推進している。
「既存事業の基盤をさらに強化し、品質・信頼・共感性を高め、その確かな土台の上に新たな価値を生み出す挑戦を続ける」と意欲をのぞかせる。
持続可能なコーヒーサプライチェーンに向けてはソフトオーガニックの考え方を広めていく。
ソフトオーガニックは、認証や制度に縛られずにそのような生産者や事業者を支援していく小川珈琲独自の考え方。
「コーヒーの生産現場では必ずしも全ての活動が認証や制度によって裏付けられているわけではない。認証はなくても、環境や社会に配慮した誠実な取り組みを続ける生産者や事業者が世界中に存在する。そのような方たちを支援していく一方で、そのことを訴求することはせず、まずはおいしいコーヒーを楽しんでいただくことを最優先していく」との考えを明らかにする。
海外事業では、米国でのブランド浸透や販路拡大、東アジアでの新規事業に向けた活動を継続していく。
