ニチレイロジグループ本社は、品川物流センター内に昨年オープンした「R&Dセンター」で低温物流における最先端の実証実験を行っている。
労働力不足が深刻化するなか、ロボットなど最新機器を各工程に配置して持続可能な「人と機械のベストミックス」を検証するもの。特に冷凍倉庫内はマイナス20℃と苛酷な環境であることから、作業負担の軽減を重要課題に位置付けている。
11月27日、報道関係者向けにR&Dセンターの施設見学会を開催。北川倫太郎取締役常務執行役員は「サプライチェーン全体を見ても庫内作業の変革は低温物流の持続可能性に欠かせないテーマ。当社は業界を牽引する立場として、新たな挑戦にも積極的に取り組む」と語った。
センターの概要は勝亦充業務統括部長が説明。「2016年度から業務革新に着手し、まずはタブレットやロボティクスの導入など個別作業の高度化を図ってきたが、25年度から段階を上げて作業全体の最適化を追求。各機器の連動などを検証した上で、人間とロボットのベストミックスを探っている」と述べた。
さらに機器メーカーなどパートナー企業と連携を強化していることにも触れ、「当社が低温物流業界のリーダーとして研究開発やテストの場を提供することで、ともに将来を支える志を持ったメンバーが集まる場にしたい」との想いも付け加えた。

R&Dセンターは、品川物流センター内1階に1092㎡のスペースを実証実験用に設置。すでに各拠点に導入済みの機器に加え、テスト中の最新システムも備える。
荷捌きエリアでは、無人搬送車「AGV」がパレットとかご車をあらかじめ決められたルートで運ぶ。フォークリフトの作業を省人化できる。
冷蔵エリアにはアームロボットを設置。運ばれてきたパレット間の積み替え作業を自動で行う。
冷凍エリアには、実証実験を始めたばかりの「3Dパレットシャトル」と「平行水平シャトル」が稼働。長時間作業の負担が大きい庫内において、大型ラックに載った荷物を楽々と前後左右に運ぶ。既存設備に導入しやすい拡張性もポイントだ。
冷凍エリアから冷蔵エリアで使用する自律走行搬送ロボット「AMR」は開発中。双方の温度環境で正常に作動させることは容易でないという。各拠点の環境や顧客の要望など、多様な状況を想定した検証を行っている。
