14.7 C
Tokyo
14.4 C
Osaka
2025 / 11 / 24 月曜日
ログイン
English
飲料系飲料サントリー「特水」好発進 発売1ヵ月は計画比1.3倍 伊右衛門「特茶」で取り切れないニーズに対応し水市場の領域拡大に手応え
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

サントリー「特水」好発進 発売1ヵ月は計画比1.3倍 伊右衛門「特茶」で取り切れないニーズに対応し水市場の領域拡大に手応え

 サントリー食品インターナショナルの「特水(とくすい)」が好スタートを切った。

 11月17日、取材に応じたブランドマーケティング本部の久保洋介氏は「発売後1か月の販売数量が計画の1.3倍となった。一般的に健康飲料は、飲み続けて効果を実感し徐々に伸びるという傾向がある中で、『特水』は初動ですごく売れたという実感がある。機能によって水の付加価値提案ができた」との手応えを語る。

 同商品は、「特茶」ブランド初となる水カテゴリの機能性表示食品。区分は清涼飲料水。
 米ぬか発酵物を原材料とする植物由来のポリフェノール(HMPA)を機能性関与成分とし、「BMIが高めの方のお腹の脂肪(内臓脂肪)を減らすのを助ける」をヘルスクレームに掲げている。

休日の運動シーンにも好適
休日の運動シーンにも好適

 シーンを選ばない水という特性から、無糖茶カテゴリのトクホ茶飲料・伊右衛門「特茶」(以下、特茶)では取り切れなかった飲用シーンを獲得している。

 「『特茶』は平日の仕事中や食事中に飲まれる方が多いが、『特水』は水カテゴリのため、例えば休日の運動シーンにも飲んでいただけるためか、『特茶』に比べて土日の売上水準も高い」という。

 水カテゴリならではの、味がないことや、カフェインが入っていないといった特性から、声優業界でも話題になっている。

 「『特水』は声優業界で流行る、と著名な声優の方が発信してくださり、ネットニュースにもなった。これは私の推測だが、喉を大切にしている方がシンプルな水をベースにつくられた機能性表示食品として『特水』を手に取っていただけたのではないか」と分析する。

 カフェインが入っていないため、就寝前などのシーンを獲得しカフェイン忌避層からも支持を集めている。そのほか「コーヒーやお茶を飲むと歯が茶色くなるといった色素沈着を気にされる方からも支持されている」という。

 現在のユーザーは、ボリュームゾーンであり「特茶」のユーザーとも重なる40~50代男性が中心。「特茶」本体とのカニバリは想定内にとどまっているという。1週間に数本「特茶」を飲むうちの1本を「特水」にするといった具合に、シーンによって一部を「特水」に置き換えるといった「特茶」ユーザーの買い回り需要もみられる。

 この動きに加えて、若年層や女性層も獲得。

 「内臓脂肪を気にする若者や女性が増えていることや、ミネラルウォーターユーザーに若年層が多いことから、『特水』がブランドへのエントリーとなっている。『特水』の希望小売価格は税別150円と、比較的手に取りやすい価格である点も後押しになったようだ」とみている。

本木雅弘さんを起用した新TVCM
本木雅弘さんを起用した新TVCM

 機能性食品の水カテゴリは勃興期にあるため、信頼感を得るための施策も購買を後押ししたとみられる。パッケージに「特茶」と同じ書体で商品名を記載しているほか、「特茶」の顔である本木雅弘さんを起用した新TVCMを放映している。

 「特茶」ブランドから出た新しい”お茶の水”にちなんで、JR御茶ノ水駅の大規模な交通広告も、話題を呼ぶとともに実際の購入にもつながった。

 「首都圏を中心に交通広告を出稿したところ、実際に首都圏での購入率が顕著に高くなった。定性調査でも、『御茶ノ水駅の広告を見て購入した』という方がいた」と述べる。

 コミュニケーション以外に消費者の自発的な発話も多く、「機能性のある水をどう捉えられるか不安もあったが、ポジティブにとらえてくださる方が多数」と語る。

ブランドマーケティング本部の久保洋介氏
ブランドマーケティング本部の久保洋介氏

 今後は認知拡大と定着化を図る。

 認知拡大に向けては、今後もTVCMの放映などを継続。

 売場については、ミネラルウォーターなど水の売場での展開に勝機を見出している。

 「「特茶」本体との横並びでの展開も一部で行っているが、意外と『特水』単体でも『特茶』の水だと理解していただけている。従来の「特茶」シリーズが並ぶトクホ・機能性表示食品の売場よりも、間口が広い水の売場のほうが新しいお客様を取れるのではないかと考えている。ミネラルウォーター市場が伸びている中で、流通さまも付加価値のある水に注目している」との見方を示す。

 さらなる飲用シーン拡大に向けて、機能関与成分のHMPAの研究も深めていく。

 「温めたり凍らせたりしても、HMPAは損なわれないことが確認できており、カップなどに移し温めて白湯として飲んでいただくなど、幅広い飲み方の提案の可能性も感じている。」と説明する。

関連記事

インタビュー特集

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

明星食品 新提案「麺の明星 主食麺宣言!」 4つの軸の袋麺アレンジで食事性アップ

明星食品は、こだわりの麺技術で開発した商品ラインアップを全面に押し出し、新たに「麺の明星 主食麺宣言!」と銘打ったプロモーションを大々的に展開している。

イチビキ 中村拓也社長 豆みそ・たまりNo.1の矜持を 人口減睨み業務用・海外強化

安永元年(1772年)創業の醸造・食品メーカー、イチビキ。今年6月20日付で同社社長に就いた中村拓也氏は、98年入社。

「大豆ミート」対談 マルコメ・日本製鋼所 次世代型食品へ課題と提言

健康志向が高まり、プラントベースフード(PBF)にも関心が集まる中、2023年9月に大豆ミートメーカー5社が発起人となり、「日本大豆ミート協会」が設立された。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点