サントリー食品インターナショナルの「特水(とくすい)」が好スタートを切った。
11月17日、取材に応じたブランドマーケティング本部の久保洋介氏は「発売後1か月の販売数量が計画の1.3倍となった。一般的に健康飲料は、飲み続けて効果を実感し徐々に伸びるという傾向がある中で、『特水』は初動ですごく売れたという実感がある。機能によって水の付加価値提案ができた」との手応えを語る。
同商品は、「特茶」ブランド初となる水カテゴリの機能性表示食品。区分は清涼飲料水。
米ぬか発酵物を原材料とする植物由来のポリフェノール(HMPA)を機能性関与成分とし、「BMIが高めの方のお腹の脂肪(内臓脂肪)を減らすのを助ける」をヘルスクレームに掲げている。

シーンを選ばない水という特性から、無糖茶カテゴリのトクホ茶飲料・伊右衛門「特茶」(以下、特茶)では取り切れなかった飲用シーンを獲得している。
「『特茶』は平日の仕事中や食事中に飲まれる方が多いが、『特水』は水カテゴリのため、例えば休日の運動シーンにも飲んでいただけるためか、『特茶』に比べて土日の売上水準も高い」という。
水カテゴリならではの、味がないことや、カフェインが入っていないといった特性から、声優業界でも話題になっている。
「『特水』は声優業界で流行る、と著名な声優の方が発信してくださり、ネットニュースにもなった。これは私の推測だが、喉を大切にしている方がシンプルな水をベースにつくられた機能性表示食品として『特水』を手に取っていただけたのではないか」と分析する。
カフェインが入っていないため、就寝前などのシーンを獲得しカフェイン忌避層からも支持を集めている。そのほか「コーヒーやお茶を飲むと歯が茶色くなるといった色素沈着を気にされる方からも支持されている」という。
現在のユーザーは、ボリュームゾーンであり「特茶」のユーザーとも重なる40~50代男性が中心。「特茶」本体とのカニバリは想定内にとどまっているという。1週間に数本「特茶」を飲むうちの1本を「特水」にするといった具合に、シーンによって一部を「特水」に置き換えるといった「特茶」ユーザーの買い回り需要もみられる。
この動きに加えて、若年層や女性層も獲得。
「内臓脂肪を気にする若者や女性が増えていることや、ミネラルウォーターユーザーに若年層が多いことから、『特水』がブランドへのエントリーとなっている。『特水』の希望小売価格は税別150円と、比較的手に取りやすい価格である点も後押しになったようだ」とみている。

機能性食品の水カテゴリは勃興期にあるため、信頼感を得るための施策も購買を後押ししたとみられる。パッケージに「特茶」と同じ書体で商品名を記載しているほか、「特茶」の顔である本木雅弘さんを起用した新TVCMを放映している。
「特茶」ブランドから出た新しい”お茶の水”にちなんで、JR御茶ノ水駅の大規模な交通広告も、話題を呼ぶとともに実際の購入にもつながった。
「首都圏を中心に交通広告を出稿したところ、実際に首都圏での購入率が顕著に高くなった。定性調査でも、『御茶ノ水駅の広告を見て購入した』という方がいた」と述べる。
コミュニケーション以外に消費者の自発的な発話も多く、「機能性のある水をどう捉えられるか不安もあったが、ポジティブにとらえてくださる方が多数」と語る。

今後は認知拡大と定着化を図る。
認知拡大に向けては、今後もTVCMの放映などを継続。
売場については、ミネラルウォーターなど水の売場での展開に勝機を見出している。
「「特茶」本体との横並びでの展開も一部で行っているが、意外と『特水』単体でも『特茶』の水だと理解していただけている。従来の「特茶」シリーズが並ぶトクホ・機能性表示食品の売場よりも、間口が広い水の売場のほうが新しいお客様を取れるのではないかと考えている。ミネラルウォーター市場が伸びている中で、流通さまも付加価値のある水に注目している」との見方を示す。
さらなる飲用シーン拡大に向けて、機能関与成分のHMPAの研究も深めていく。
「温めたり凍らせたりしても、HMPAは損なわれないことが確認できており、カップなどに移し温めて白湯として飲んでいただくなど、幅広い飲み方の提案の可能性も感じている。」と説明する。


