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未分類コーヒー飲料、原材料高騰と価格改定による消費減退の二重苦の厳しい環境に屈せず各社ブランド育成
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コーヒー飲料、原材料高騰と価格改定による消費減退の二重苦の厳しい環境に屈せず各社ブランド育成

 コーヒー飲料市場は、主要原材料であるコーヒー豆の高騰と価格改定による消費減退という二重苦に見舞われている。

 その環境下で、価格改定後も販売数量を伸ばしているブランドもあり、新たなチャレンジもみられる。秋冬商戦に向け、各社とも荒波に屈せずブランド育成すべくマーケティング活動を展開している。

 全国清涼飲料連合会の「2024年清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によると、コーヒー飲料等の24年生産量は1.3%減の309万5600kl、24年生産者販売金額は前年比0.9%減の9254億9200万円となった。

 原材料高騰と価格改定による消費減退の二重苦に加え、コーヒー飲料は飲料市場において茶系飲料に次ぐ9000億円規模の大票田カテゴリであることからシェア争いが激化。

 一部の売場では、値頃感の創出においてチキンレースの様相を呈している。
 特にコーヒー豆の使用量が比較的多いブラックコーヒーでは消耗戦の色合いを帯びている模様。コーヒー豆の買い付けとその豆を使った製品化にはタイムラグがあり、昨年よりも高値で買い付けたコーヒー豆が収益に与える影響はこれからと見る向きもある。

 今年1-7月も前年のトレンドが続いており販売数量で2%程度のマイナス、販売金額で5%程度のプラスと推定される。

 年間着地については、主要ブランドで実施された10月の価格改定が焦点となる。
 価格改定効果で販売金額が上向く可能性や数量減が金額減を招く可能性などが交錯する中、販売数量においては上期以上に落ち込むものと予想される。

 非常に厳しい環境であるが、違った見方をすれば、この厳しい環境を乗り切り、今後、コーヒー相場が一服すると収益も改善されることから、厳しい中でもシェア獲得やファンづくりのためのマーケティング活動が肝要となる。

 コーヒー飲料のサブカテゴリで健闘しているのは、ラテ系を中心としたペットボトル(PET)コーヒーとボトル缶コーヒー。各ブランドの健闘ぶりが今後の成長のカギになりそうだ。

 「ジョージア」(コカ・コーラシステム)の屋台骨となるPETコーヒーは好調に推移。
 1-8月の販売実績について、日本コカ・コーラの新田祐一郎マーケティング本部コーヒー事業部ディレクターは「数量・金額ともに拡大している。
 2月に500mlPET3品を刷新したことで、我々の期待以上の成果を出せている」と振り返る。

 「カフェラテ」「ブラック」「深煎りプレッソ」の3品の中で成長の一番の牽引役となっているのは「カフェラテ」。
 消費者分析を行い「カフェラテ」にミルク感がより求められる傾向を捉え、リニューアルではミルク感を高めた。

 「昨年まではコーヒー感が楽しめるラテというポジショニングで展開していたのを、ミルク感が楽しめるコーヒーというようにミルクをベースにしたところ、ターゲットにしている若年層に限らず、より幅広い方に受け入れられている」との手応えを得る。

 「クラフトボス」(サントリー食品インターナショナル)コーヒーシリーズも、ラテ系の「甘くないイタリアーノ」が牽引役になって善戦。カフェユーザー流入の動きが見られるという。

 SBFジャパンブランドマーケティング本部の野々村亮氏は「カフェで飲まれるようなラテの甘すぎない味わいが非常にご好評いただいている。昨年11月の新コミュニケーション開始以降、お客様の数も増えている。中でも、これまでPETコーヒーを飲まれてこられなかった方など新しいお客様を多く獲得している」と語る。

 ボトル缶で存在感を示すのは「TULLY’S COFFEE(タリーズコーヒー)」ブランド(伊藤園)のボトル缶「BARISTA’S(バリスタズ)」シリーズ。これが牽引役になって「タリーズコーヒー」の1-8月販売数量は前年を上回った。「ジョージア」の販売も上向いているという。

 市場活性化に向け、今年に入りPETコーヒーで大きな動きが見られる。

 アサヒ飲料は春先、「ワンダ」ブランドで24年ぶりとなる大規模なリニューアルを実施するとともに新PETコーヒーを発売した。

 伊藤園はボトル缶で培った本格コーヒーの知見を活用してPETコーヒーの「PLATINUM(プラチナ)」シリーズを立ち上げ、10月6日に「BITTER BLACK(ビターブラック)」と「WHITE LATTE(ホワイトラテ)」の2品を新発売した。

 ブランドのイメージ向上に取り組むのはキリンビバレッジ。新ブランドアンバサダーに人気バンド「King Gnu」のギターボーカル・常田大希さんを起用したコミュニケーションを継続してーPETコーヒー「ファイア ワンデイ」シリーズを引き続きアピールしていく。

 UCC上島珈琲は、PETコーヒー「UCC Cold Brew」から「BLACK」「LATTE」の2品に続く3品目の新商品「Non Sweet LATTE」を10月13日に新発売した。

 ダイドードリンコは今秋、「世界一のバリスタ監修」シリーズの大規模リニューアルに取り組みPETコーヒーを強化する。

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