ミツカングループが運営する体験型博物館「MIZKAN MUSEUM(MIM〈ミム〉)」は、館内ツアーガイドとして自律移動型案内ロボット「Temi V3」を導入、9月から本格運用を開始した。終日無人で自動運行できるロボットガイドツアーの本格導入は、国内で初めての取り組みとなる。
館内ツアー最初のエリア「大地の蔵」で、これまで専門ガイドが担当していた約15分の定時ツアーを、ロボットが完全自動で実施する。順路に沿って来館者を誘導しながら、酢づくりの歴史や展示の見どころを解説。展示物と連動したインタラクティブな演出を組み込み、有人ガイドのような臨場感ある体験を提供する。
MIMは2023年、展示解説や案内の自動化を目的に、案内ロボット導入の検討を開始し、24年、愛知県の「ロボット未活用領域導入検証補助金」を活用して複数機種による2週間ずつの実証実験を実施。各ロボットの機能や特徴を踏まえ、現場のニーズに最適なロボットとして、自律移動型案内ロボット「Temi V3」を選定した。
MIMは今回、実証実験を通じて明らかになった課題やリスクを踏まえ、専門家の助言のもと、ロボット本体の改良、館内の環境整備、運用シナリオの工夫を行ったことで、無人でも安定した運用を維持できる体制を構築。運行中にエラーや異常が検知された場合は、事務所にいるスタッフへアラートを送付し、スタッフが駆けつけて対応する。
導入後の来館者アンケートでも「ロボットの案内が面白かった」「みむみん(ロボットの愛称)がかわいかった」といった声も上がっているという。MIMは、多くの来館者への新たな体験価値の提供につなげられていると評価。今後も最新技術を活用することで、来館者に新しい体験を提供するとともに、持続可能な運営体制の構築を目指すとしている。