「考え続ける者」こそ

おなじみ「鳩のマーク」と「7&i」のロゴが交互にあしらわれた四面の看板が全面「鳩」に変わって数か月。イトーヨーカ堂がたどった紆余曲折の歴史は、日本社会の消費変遷を如実に映し出している。

▼かつて群雄割拠したGMS大手が00年代以降は食品事業への集中に舵を切る中、前身「羊華堂洋品店」時代からの祖業であるアパレルの自主運営から撤退を決めたのはつい2年前。その年の春には創業者・伊藤雅俊氏が亡くなっている。

▼「セブン-イレブン・ジャパンと同一グループであることが、グループの将来に資すると確信している」とセブン&アイHDの井阪隆一社長(当時)が強調してから3年。追求し続けたコンビニとスーパー事業のシナジーによる浮上は果たせず、別々の道を歩むことになった。

▼進化論になぞらえ「強い者が生き残るのではない。変化する者が生き残るのだ」とよく言われる。だが自然界で生き残ったのは、環境に合わせて自ら変化したのではなく、突然変異でたまたま有利な形質を獲得した強運の持ち主たち。対して、人間は自らの意志で自らを変えられる。「常に考え続ける者」こそ生き残るのだ。