多様化するおせち

酷暑が続く9月だがおせち商戦は本格化。予約開始時期が年々早まっている。富士経済によると25年の重詰おせちの国内市場規模は847億円、前年比で0.5%増。次の年末年始も前年同様、曜日並びが良く9連休となり、おせち販売には追い風だ。前年も早期予約で客の囲い込みに成功した企業は良い結果を残している。

▼出足の早さが成否を分けるといっても間違いなさそうだが、準備数を見誤ると機会損失リスクも増える。販売期間中の需要予測がこれまで以上に大きな意味を持つ。昨年は12月の駆け込み需要に対応できなかった企業もあった。

▼二極化の消費傾向はさらに色濃くなる。高級食材を楽しみたい人に向けた贅沢おせちだけでなく、物価高を反映しコスパ訴求型おせちも増えた。百貨店では4段2万円台といった商品の販売にも注力する。

▼おせちの平均単価は低下している。最近はオードブルも人気だ。伝統食としてのおせちが愛される一方、カジュアルなメニューとして楽しむユーザーが増えている。新年を象徴する料理はトレンドを反映し、進化する。