神明ホールディングスは、農業分野の事業を強化するため、農業法人舞台ファーム(宮城県仙台市、針生信夫社長)と業務提携を締結した。第1弾として営農型ソーラーシェアリング施設での共同実証に取り組み、太陽光発電による生産者の農業活動や追加収入に役立てる。実証で得られたノウハウや技術は、新たな営農モデルとして全国に展開する。
藤尾益雄・神明HD社長は7月29日に神戸市で会見を開き、国内農業の現状と課題と訴え「農業生産者が抱える不安の一番は儲からないこと。副収入としての発電、また電力利用によるコスト削減により、儲かる農業の実現と就農を支援したい」と説明。針生社長は「農業の六次産業化と言っても限界があり、日本の農業を守るためには農家を大きなステージに変える必要がある。今後得たノウハウを仲間に広めたい」と語った。
共同実証は、宮城県遠田郡美里町に舞台ファームが運営する次世代型植物工場「美里グリーンベース」に隣接する圃場(約3.9ha・水田)で実施する。太陽光発電で得た電力を美里グリーンベースで利用することで、使用電力の約78%をまかない、またEVステーションを設置して周辺農家へ電力供給、スマート農業を推進する。施設は8月下旬以降に着工し、来年2月に完成、3月通電開始を計画する。
このほか、双方の知見や技術を融合させた、持続可能な「食と農」の実現を目指す考え。コメの生産・安定供給に向けた取り組みでは、舞台ファームの持つ多収品種「にじのきらめき」の種籾(来年1月から全国販売)と、神明のグループ企業が提供するコメ品種「ふじゆたか」「大粒ダイヤ」など、両社の知識を融合することで昨今の気候変動に対応し、高品質かつ安定収量が見込める種子の提供、生産者の経営安定化などに貢献する。日本最大級のレタス食物工場・美里グリーンベースと、青果流通事業を営む神明HDの連携により、青果物を安定して供給する仕組みを構築する。
また農業人材の育成・派遣、農業再生支援・事業継承支援、スマート農業の推進・普及など、持続可能な「食と農」の実現に取り組む。「両社の考え方、目的が合致すれば、将来的にはいろんな構想を生み出したい」(藤尾社長)。