価格高騰するコメの消費離れが懸念される中、ご飯とは切っても切り離せない「納豆」は、むしろ供給が追いつかないほどの売れ行きが続いている。昨年の納豆市場は、過去最高の販売金額を記録し、数量ベースでも前年を上回って推移。今年に入っても販売は好調だ。
コメの価格高騰によりコメ離れが進む中、栄養価が高く、ご飯によく合い、食べる準備にも手間がかからない納豆が見直されている。最大の要因は、納豆の経済性が挙げられる。最近の物価高による節約志向が高まる中、食品全体が値上げ基調にあり、納豆もコスト高による値上げが行われたが、価格改定後も引き続き税込100円台前半、PBにおいては100円以内と値ごろ感を維持。加えて即食・簡便性や健康性、汎用性など納豆の価値が支持されている。
業界最大手のタカノフーズは「3月決算では昨対を超えた」。「ご飯のおかずとして成り立っている納豆だが、簡便性でも支持されている」とし、業界では夏場は出荷が落ちる傾向だが「麺と合わせて食べるなど、ご飯以外のメニューも広がっている」と言う。
スタンダード品とPBが好調なあづま食品は、業界で最も高い伸び率を保っている。売れ行き好調なことから、「製造キャパシティが限界に達しており、販促の見送りや秋冬新製品の販売計画にも影響が出るのでは」と懸念している。
販促を強化したい一方で、生産・供給面から出荷制限を余儀なくされるなど、ブランド強化・認知度向上の観点からは楽観視できない状況にあるようだ。
ミツカングループは、昨年6月に価格改定を行うとともに、主力ブランドの強化策を実施。売れ筋の「金のつぶ たれたっぷり!たまご醤油たれ」や、「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆」が売上・数量ともに前年を超え、納豆全体として2月期は過去最高の売上となった。
「節約志向の中で相対的に一食当たりの価格が安い納豆の売上は伸びた」とし、「サラダ代替に健康的な副菜としての納豆が寄与した」と語っている。
