ミツバチへの感謝を事業で 女性目線で魅力を訴求 杉養蜂園 杉喜美子社長

国内最大の蜂蜜専門店を展開する杉養蜂園(熊本県熊本市北区貢町、杉喜美子社長)は4月、米田弘一前社長が副会長に、杉喜美子専務が社長に就任する役員人事を発表した。杉社長に今後の事業展望を聞いた。(本紙6月30日号に「蜂産品特集」)

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――今回の社長就任と今後の事業プランについてお聞かせください。

杉 当社は創業者・杉武男が養蜂業からスタートし発展し、私で四代目となります。杉武男の次女として家業を見てきた経験を社長業で生かし、さらに発展させたいと考えています。

当面の経営指針として優先順位の上位2つは商品施策、店舗施策です。商品施策では化粧品群の強化を。これまで、創業者が考案した「へちま水」をベースに蜂蜜を添加した基礎化粧品がロングセラーとなり、「ミツバチコスメ」シリーズを展開しています。8月中旬には5アイテム(洗顔石鹸、化粧水、美容液、乳液、クリーム)を新発売します。

店舗施策は、年間3店舗の新規出店ペースを変え、既存店の改装にシフトしました。前期は巣鴨など数店で実施しましたが、今期は5店舗を計画しています。新店も立地、条件で絞り込んだ上で2店舗を予定しています。

――前期(25年3月期)業績は。

杉 売上高、収益ともに二ケタ増で着地しました。通販、店販それぞれ好調ですが、特に店販はインバウンド効果が大きいです。前期の新店ではKITTE大阪店が売上計画を大きく上回って進捗し寄与しました。私自身も販売員として売場に立ち、特に大阪はインバウンド客の多さと購買点数の多さに驚きました。

――ご自身も店頭に出るのですか。

杉 子どもの頃から創業者に仕込まれてきたので店頭販売は苦ではなく、むしろ好きです。お客様から生の声を聴けるのもうれしいし、直接私たちの思いをお伝えすることもできます。店舗の場合、蜂蜜ソフトクリームから始まり、蜂蜜の魅力を知る入口となる果汁入りはちみつ、蜂蜜製品、サプリメント、化粧品へと続くわけですが、お客様が徐々に関心を持っていただけるのを目の当たりにするのはうれしいことです。

――伝えたい思いとは。

杉 養蜂業は養蜂家がミツバチの命を守りながら技術を高め、ミツバチが様々な花から集めて作ってくれた蜂蜜を皆さまに提供する仕事です。地球上のすべての方に、杉養蜂園の製品に限らず自然の恵みである蜂蜜を食べていただきたい。世界には蜂蜜を生涯食べない方も多いのでしょうが、蜂蜜をより多くの方に楽しんでいただきたい。これは、ミツバチに対する感謝の気持ちでもあります。

――ありがとうございました。