栗山米菓は6月9日、今年発売20周年を迎えた揚げ米菓ブランド「瀬戸しお」で米菓業界では異例ともいえる新WEBCMを公開した。
新CMは、井桁弘恵さん扮する「瀬戸しお仮面」という名のヒーローが大型バイクで疾走するほか爆破をバックにダッシュしたりする内容。井桁さんがライダー姿となり体当たりで怪演した。
9日、都内で開催された「栗山米菓 瀬戸しお 20周年なので 新CM発表会」で取材に応じた栗山大河社長は、新CMの狙いについて「若い人に向けたというよりも、従来の米菓のイメージを払拭したいと考えた。お菓子なのでおいしさと同時に、楽しさや新しさも伝えていきたい」と語る。
米菓市場は60代以上の世代が主要購買層であるのに対し、「瀬戸しお」の主要購買層は30~50代となっており比較的若い層に支持される傾向にある。

コミュニケーションターゲットはZ世代と定め、Z世代から中年・高年への波及効果を狙う。
「Z世代には個人の拡散力があり、Z世代に向けたとしてもZ世代に留まるわけではないと考えている。Z世代に向けたほうが楽しいことを企画しやすく、Z世代から上の世代に波及していくような内容にした」と語る。
新CMで楽しさや新しさを伝えることによってブランド力向上や認知拡大を図る。
「『瀬戸しお』の認知率は高くなく、『ばかうけ』の認知率が7~8割であるのに対して、その半分か3割程度。メジャー商品ではないものの、発売20周年ということで少し王道ぶり、爆破シーンを入れるなど大げさなことをやってみようと考えた」と述べる。
CMの世界観と連動したOOH広告(屋外広告)での波及効果も見込む。
昨年9月、SNSに寄せられた「瀬戸しお」に対する熱量の高いコメントを一言一句違わずにOOH広告に仕立てて、新宿・渋谷エリア中心に掲出したところ大きな反響があったという。
「当社のSNSへの投稿も伸びたが、それ以上にお客様がOOH広告を撮影して投稿したものが伸びた。やはり会社公式の情報よりも、お客様が熱量を持って伝えて下さるほうが信憑性も強く、面白そうだと思っていただいた」との手応えを得る。
今後も「ファンとの熱量をどんどん高めていきたい」との考えのもと、新宿・渋谷・梅田にOOH広告を15日まで掲出している。
店頭露出については、関西以外のエリアでの店頭導入に開拓余地を見込む。
「関西では9割以上に配荷されているが、関東や他のエリアにはまだまだ開拓の余地があり、そこに対してもっと攻めていきたい。関西の実績をベースに他のエリアにもっと届けていきたい」と意欲を示す。

「瀬戸しお」の看板商品は「えび塩味」。これに「ゆず塩味」、「3種のアソート」(のり塩味・えび塩味・ゆず塩味)、4月に新発売した「うま塩味」を加えた4品を「基本の4商品」と位置付けている。
新商品の「うま塩味」については「とにかく『瀬戸しお』の特徴は何と言っても唯一無二の食感にあるため、この食感をベースに展開していきたい。『うま塩』味は小海老を生地に練り込まず食感をより感じていただけるよう出汁の効いた塩味で食感をより感じていただけるように仕立てた」と力を込める。
「うま塩味」は“黄金だし仕立て”を謳い、ほたて(北海道産)・昆布(北海道産)・かつお節(焼津産)・甘えびの旨味がきいた塩味となっている。

「瀬戸しお」は「瀬戸のほんじお」を使用するなど塩にこだわった点も特徴。このこだわりは、前身の商品名「瀬戸の汐揚(しおあげ)」にも現れている。
「汐(しお)の漢字にもこだわり、今の『瀬戸しお』につながる世界観を醸成することができが、読みづらく市場になかなか浸透しないという課題があり、2014年3月に現商品名へ変更した」と振り返る。
栗山米菓では今期(3月期)、「ばかうけ」と「瀬戸しお」に注力していく。「『ばかうけ』でも秋頃に少し変わったことをしていきたいと考えて企画を進めている」と語る。
【写真】井桁弘恵さんがライダー姿で体当たり怪演する栗山米菓「瀬戸しお」の新CM「爆破」篇
