コメ高騰で注目 「炊飯油」の需要拡大 品質安定化とコスト抑制で

コメの価格高騰をきっかけに炊飯油の需要が拡大している。炊飯油とは、その名の通り炊飯専用の業務用油脂。コメと水と一緒に少量入れて炊くことで油がご飯をコーティングし、炊き上げ後のおいしさとツヤの維持、しゃもじや釜へのくっつきを防ぎ、作業性向上にも寄与する。

以前から弁当やおにぎりなどの中食惣菜、外食店向けの大量炊飯では、品質安定化と経時変化の抑制、作業性改善などを目的に炊飯油が使われてきたが、コメの価格高騰で店内炊飯の飲食店ユーザーからも関心が高まっている。

昨年後半から業務用米の価格高騰と供給不安が続くなか、外食店ではコスト高と品質維持が大きな課題となっている。ライスおかわり無料の中止や、銘柄米の仕入れが難しくなり、ブレンド米に切り替えるケースも増えている。

こうした中で製油メーカー各社は、コメの価格高騰に直面する業務用ユーザー向けに炊飯油の提案を強化している。業務用卸店の展示会でもフライ油中心の提案から、今シーズンは炊飯油の提案が目立っている。

「炊飯油は外食店ではあまり使われていなかったが、コメの価格高騰で関心が高まっている。炊飯油を知らなかったというお客様も多いが、展示会で紹介すると熱心に話を聞いていただき、採用につながるケースが増えている」(大手製油メーカーの営業担当者)。

 

人手不足による作業性改善だけでなく、品質安定化とコスト抑制の両面から炊飯油を導入する店も増えている。「(価格高騰で)品種や産地を変えざるを得ないが、味や品質が不安」という課題に対し、ふっくらとした炊き上がりや粒立ちの良さが維持できる炊飯油の機能が注目されている。

J-オイルミルズでは、「JOYL PRO」シリーズの「ごはんのための米油(炊飯用)」(1350gボトル)を中心に、店内炊飯の外食店や中食惣菜ユーザー向けの提案を強化している。米油由来のおいしさと粒感・ほぐれ感を持続できる機能に加え、炊き増し効果や釜離れの良さによるコストダウンにも貢献できることが評価されているという。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
日清オイリオ業務用「日清炊飯油お店のごはん用」

日清オイリオグループは、今春の新商品で中食惣菜向けに「日清炊飯油TK」を発売、炊飯油のラインアップを拡充した。外食店向けでは、350gPETサイズで店内炊飯に使いやすい「日清炊飯油 お店のごはん用」を中心に積極的な提案活動を展開。「日清オイリオ業務用お役立ちサイト」でも米飯の課題解決事例を紹介し、炊飯油の販売が伸びている。

製油メーカーの担当者は「フライ油はもちろんですが、お客様の課題やニーズを汲み取り、食用油の機能を生かしてお役立ちできる場面を広げていくことが重要。調理現場の課題を知ることがソリューションの第一歩」と強調する。

炊飯油はフライ油と違い、商品機能や使い方の説明が必要となるだけに、卸店向けの勉強会や提案会などを通じて、顧客接点を広げていく構えだ。