アサヒ飲料はブレンド茶飲料ブランド「十六茶」で長年培われた健康価値を強みに夏の水分補給訴求に注力して飲用機会を創出する。
5月19日、取材に応じた山田謙太マーケティング本部マーケティング二部無糖茶グループ課長補佐は「“ブランドは知っているが飲んだことはない”という層に、2月から掲げているコミュニケーションテーマ『渇いたカラダに16チャージ!』を呼びかけ、夏の水分補給の接点を拡大し浸透を図る」と意欲をのぞかせる。
これまで、同ブランドの主要な飲用層は、ライフステージの変化とともに健康を気にする女性が中心だった。今年はプラスアルファとして、水分補給のために無糖茶飲料を飲む広い性年代のユーザー獲得を目指す。

水分補給訴求強化によって主に麦茶飲料からの流入を見込む。
「お客様が無糖茶飲料を購入する際は、ブレンド茶などのカテゴリはさほど気にしておらず、水分補給のためのお茶として選んでいる。夏と言えば麦茶というイメージがあるが、『十六茶』もノンカフェインでミネラルが入っている健康的なお茶として止渇性ニーズに対応していく」と力を込める。
そのための施策のひとつが「日本全国16Cha差し入れ大作戦」。リアルの場での試飲と、デジタルのキャンペーンを実施する。
5月29日と30日には、「二子玉川ライズ ガレリア」(東京都世田谷区)でポップアップイベントを開催し、フォトスポットなどを設置した。試飲ブースでは、2日間で4500本が同社から来場者に差し入れされた。
デジタルでは「あの人に差し入れキャンペーン」と称する施策を6月2日から22日にかけて実施している。
同施策はXの公式アカウントをフォローの上、公式投稿を引用投稿または指定ハッシュタグをつけて投稿すると、抽選で100人に「十六茶」(630ml)が当たるというもの。当選者は、商品送付先入力フォームから最大4ケースを希望の宛先に差し入れすることができる。
当選者に差し入れの選択肢を設けることで、単なるサンプリングではなく飲用体験の価値向上も狙う。
「差し入れにすることで、贈り手や貰い手の間でコミュニケーションが生まれ、夏の水分補給に『十六茶』を飲んだという体験価値がより浸透していく」と期待する。
デジタルでは、抽選で「十六茶」(2L)が1ケース当たる「十六茶と夏キャンペーン」も展開予定となっている。
店頭では、スーパーを中心に試飲会を各地で実施予定。「十六茶」シリーズの商品を3本購入すると、「日本全国16Cha差し入れ大作戦」を訴求するうちわがもらえるキャンペーンも行っている。
5月26日から展開している新TVCMでも、夏らしい季節感を出しながら健康感と水分補給をアピールしている。
商品にも磨きかけた。中味は止渇性を高めるべく、ハトムギの使用量を増やし16素材のうち粟をさつまいもに変更することで、すっきりとした後味に仕立てた。パッケージには「ミネラル」の表記を追加した。
今回のリニューアルについて「夏場に無糖でゴクゴク飲める飲料が伸長していることから、水分補給に合う味わいを目指してリニューアルを行った。競合カテゴリである麦茶はミネラルを訴求する商品が多いため、ミネラルは元々含んでいたが、改めてパッケージに記載した」と説明する。
2月4日のリニューアル発売以降、量販店などの定番棚の獲得につながり、接点が拡大。「十六茶」ブランドの1-4月の販売数量は、前年同期比4%増の566万ケースとなった。
「手売りチャネル、特に量販店などを中心に春夏の定番棚に導入していただいている。小型PETだけでなく、大型PETの配荷も増えている。本体の伸びに従って、『十六茶麦茶』など派生品も順調に伸長している」との手応えを得る。
コミュニケーションテーマの「渇いたカラダに16チャージ!」については「ブランドに対するイメージを調査したところ、健康的なイメージとともに止渇性のイメージが上がってきている。『16チャージ』という言葉には、素材と水分をチャージするという意味が込められている」と語る。
リニューアルに伴い、イラストレーターの武政諒さんのデザインを採用した「十六茶 アートデザイン」をコンビニ限定で発売開始した。
同商品については「十六茶の止渇、健康という商品の価値に加え、アートラベルという新たな価値を評価頂き多くのお取引様に採用いただいた」と述べる。
量販店やコンビニでの採用増加については、止渇性と健康という2つの価値が評価につながった。
「夏の長期化や猛暑化により水分補給ニーズの拡大が見込まれる中で、『十六茶』は健康感が差別化ポイントになるという点を、営業活動でお取引先の方にしっかり伝えることができた」という。
今後も、無糖茶飲料市場には伸長を見込む。
「夏の長期化や健康意識の高まりにより、無糖茶が伸長する流れは中長期的に続く」と予測する。
