即席麺市場は物価高の中でコスパの良さが強みになっているが、高価格帯とされる300円前後のカップ麺でもヒット商品が出ている。キーワードはお得感と話題性。「日清焼そばU.F.O 爆盛バーレル」や「明星 ぶぶか油そば」は圧倒的な食べ応えが若年層に支持され、韓国で話題になっていた「辛ラーメン トゥーンバ カップ」は日本での発売から約2週間で限定100万食が完売した。いずれもカップ麺のメーンユーザー(中高年層)に比べて若い世代のニーズを捉えたことも注目される。
「日清焼そばU.F.O.」、28年ぶり過去最高売上
インテージSRI+データによると、2024年度の即席麺(袋麺・カップ麺)販売金額は2.3%増だった。食数でも0.1%増と前年を超えている。
同社市場アナリストの木地利光氏は「8月に南海トラフ地震の臨時情報が出た際の備蓄需要や、品薄になったコメの代替需要で大幅増となったが、それ以降もコスパの良さから販売食数は堅調」と分析する。
節約志向が高まる市場環境に対し、メーカー各社は定番商品の販促強化と低価格商品の拡充で応えつつ、新たな価値を伴った商品での需要喚起にも挑んでいる。
日清食品は前3月期に、「日清焼そばU.F.O」ブランドが28年ぶりに過去最高売上を更新した。最大の原動力は「日清焼そばU.F.O 爆盛バーレル」(税別308円)のヒットだ。麺はシリーズ史上最重量の180g(レギュラー品100g)を搭載し、“ぶっ濃い濃厚ソース”を存分に堪能できる。23年春に中部以西で新発売し、24年3月から全国展開を開始した。これまで計画を大幅に上回る売れ行きを見せている。
同社は「若い世代(30代以下)の購入比率がレギュラー品に比べて高い。新しいニーズを取り込めた」と手応えを話す。
明星食品の「明星 ぶぶか油そば」(税別278円)は昨年度、売上前年比が約1・7倍と急伸した。食べ応えのある極太麺130gに、濃厚焼豚醤油ダレがしっかりと絡む濃厚な味わいが特長。
実は発売20年以上のロングセラーだが、24年春の品質リニューアルに加え、SNSでバズった“飯テロ動画”がブレイクのきっかけになった。豚角煮や調味料などを追加して豪快に食べる様子が拡散されたもの。前期は主戦場だったコンビニからスーパーに販路が広がった効果も大きい。
農心ジャパンの「辛ラーメン トゥーンバ カップ」(税別278円)は韓国でのヒットを受け、日本では4月にセブン-イレブンで先行発売したところ、限定数量の100万食が約2週間で売り切れた。
韓国メーカーがいま注目する「モディシューマー」と呼ばれる「商品やサービスを自分好みにカスタマイズして楽しむ消費者」の間で話題になったレシピをもとに商品化。濃厚なソースにもちもちの麺が絡み、“うまからっ!”なアクセントとチーズのコクも味わえる。
