ネスレ日本、拡大する濃縮タイプ飲料で牛乳の消費拡大 全国のご当地牛乳10種類でメニュー提案

 ネスレ日本は、近年拡大している濃縮タイプ飲料でJA全農とコラボレーションして成長を加速させるとともに牛乳の消費拡大を図る。

 コラボレーション内容は、JA全農が選定した全国各地の牛乳に濃縮タイプ飲料を注いだメニューが楽しめる期間限定の体験イベントの開催となる。

 5月29日、イベント会場の「ネスカフェ 原宿」(東京都渋谷区)で発表したネスレ日本のハンクス香里液体飲料ホワイトカップ&ミロビジネス部シニアブランドマネジャーは「いろいろな飲み方のバラエティを広げていくことで牛乳の消費拡大を図りながら我々の製品もご利用していただきたい」と語る。

 ターゲットは若年層を想定する。

 同部の吉岡修平ブランドマネジャーは「若い方々はアイスコーヒーにどんどんシフトしている。シンプルなアイスコーヒーではなくてアレンジを加えたレシピがかなり受け入れられている」との見方を示す。

 JA全農によると、酪農経営を取り巻く環境は、飼料高や牛乳・乳製品の消費減退でより厳しい環境にある。

左からハンクス香里氏、吉岡修平氏、富澤裕敏氏、天野琢氏、寺崎優喜氏
左からハンクス香里氏、吉岡修平氏、富澤裕敏氏、天野琢氏、寺崎優喜氏

 JA全農の天野琢酪農部総合課課長は、今回のコラボで酪農や牛乳の価値発信、牛乳の消費拡大につながることに期待を寄せる。
 「学校給食がなくなる学校休業時に消費が少し落ち込む傾向にある。今回のコラボで、若い人に牛乳を飲んでいただく機会を提供していただくことで、若い人がより長く牛乳のファンになっていただくことが長期的にみても牛乳の消費増につながると期待している」と天野課長は語る。

 同課生乳流通対策室の寺崎優喜氏は牛乳そのものの価値について「豊富なカルシウムが含まれコップ一杯の牛乳で1日の推奨摂取量の約35%を摂ることができる。加えて、エネルギーのもとになる、たんぱく質、脂質、炭水化物、身体の調子を整えるミネラル、ビタミンを含んでいる。良質なたんぱく質で血液量を増やして熱中症に負けない身体づくりもできる」と説明する。

 「牛乳の消費量が減ってしまった状態になっても、乳牛(の数)は調整できない」と訴えるのは酪農家で富澤牧場を運営する富澤裕敏氏。
 今回のコラボで牛乳の消費拡大、さらには「酪農の現場に触れたり、考えるきっかけになると我々酪農家も嬉しく思う」富澤氏はと述べる。

イベント名は「ネスカフェ×JA全農 アイスラテを楽しむご当地MILK STAND」
イベント名は「ネスカフェ×JA全農 アイスラテを楽しむご当地MILK STAND」

 濃縮タイプ飲料は「ネスカフェ ポーション」「ネスレ ポーション」のポーション7種類と「ネスカフェ エスプレッソベース」を用意。

 一方、ご当地牛乳は「牧場(まきば)で飲むおいしさそのまま牛乳」(北海道:北海道酪農公社)「酪王牛乳」(東北:酪王協同乳業)「のとそだち」(北陸:アイ・ミルク北陸)「農協乳業」(関東:協同乳業)「東京牛乳」(同)「おいしい愛知牛乳」(東海:協同乳業)「毎日牛乳」(関西:日本酪農協同)「県北搾り」(中国:広島協同乳業)「夕しぼり」(四国:四国乳業)「大阿蘇牛乳」(九州:らくのうマザーズ)の10種類を取り揃える。

 体験イベントは「ネスカフェ×JA全農 アイスラテを楽しむご当地MILK STAND」と題して、5月29日から6月30日までの約1か月間開催される。

 期間中、ご当地牛乳3種類の飲み比べと牛乳1種類にポーションを注いで楽しみラテ体験をセットに税込700円で販売。ご当地牛乳の種類は順次変更される。

 「ネスカフェ エスプレッソベース」とご当地牛乳を組み合わせたラテアレンジメニューも順次メニューを変更しながら販売。メニューは期間中全4種類を用意している。

 なおネスレ日本によると、2024年濃縮コーヒー市場は金額ベースで2020年比約1.5倍に拡大、2024年ポーション市場は数量・金額ともに2021年比1.4倍に拡大したと推定する。

株式会社アピ 植物性素材