低温物流大手のニチレイロジグループ本社は、2025年度から3か年の新中期経営計画を始動させた。
最終27年度に売上高3120億円(24年度比12%増)、営業利益226億円(同43%増)を計画。国内は持続可能な物流基盤をさらに強化・拡大し、海外は欧州・ASEANでの拠点投資およびグループシナジー発揮による飛躍的成長を図る。記者会見の席上、嶋本和訓社長は「低温物流におけるNo.1ソリューションカンパニーとしてのポジション確立を目指す」と述べた。
国内は冷凍食品市場の拡大に物流基盤のさらなる強化で応える。メーカーの生産拠点が多く、消費地の大都市圏にアクセスが良い関東・関西・九州エリアを中心に、拠点の新設による庫腹能力の増強を計画する。次世代輸配送システム「SULS(サルス)」も拡充。荷積み・荷下ろしなどドライバーの大幅な負担軽減を実現する機能だが、トレーラー約50本を追加投資して累計約100本に増やすほか、「SULS」を活用したフェリー路線も検討中。
リテール事業向けの物流網も整備しており、東北エリアで具現化した「NL+Link」を関東地区、西日本地区でも構築する。さらにはデータドリブン運営の実現に向けた技術検証を加速。自動化の推進と業務プロセスの標準化を視野に入れ、30年度末には全国の主要拠点における主な作業工程のデジタル化率100%を目指す。
海外は27年度に売上高で1030億円(24年度比24%増)と大台の突破を見込み、営業利益で65億円(同91%増)と2倍近い伸びを計画する。
欧州は設備投資と一貫サービス拡充による事業規模の拡大を追求。英国のレクサム倉庫を増設(27年稼働予定)して港湾ワンストップサービスの拡充を目指し、ポーランド南部のラドムスコ倉庫の増設(25年稼働予定)で量販物流を強化する。
ASEANでは、今後の経済成長に伴って想定されるコールドチェーンニーズの高まりに応えていく。24年にベトナム、25年にタイに冷蔵倉庫を新設し、今年7月にはマレーシア企業の連結化を計画。これらグループ間の連携を発揮して既存事業の収益を伸ばしながら、域内での新たな機能拡大と事業機会も模索する。
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