業務用コーヒーマシン、コーヒー豆高騰に対応 熟練の技演出や設置の価格競争力で

 コーヒー豆の価格高騰で客数が伸び悩むなど一部の外食店や外食企業の経営を圧迫する中、業務用コーヒーマシン市場ではこうした厳しい環境に対応した動きが出始めている。外食店などのコストアップ吸収に向けて、人手をあまり介さずに簡便でありながらも熟練の技を演出することでメニューの単価アップを図る提案がなされている。

 3月25日、UCCグループは業務用展示商談会「UCC Smile Festa2025」を東京で開催。ラッキーコーヒーマシンの展示ブースでは、トップバリスタの石谷貴之さんが講師役となり、ハイエンド業態向けのセミオートマシン「ラ・マルゾッコ」にタンパーブランドの「パックプレス」や「ラ・マルゾッコ」のミルクフォーマー「ウォーリーミルク」などを組み合わせてラテアートを除いたすべての工程が自動でできることをアピールした。

 ホルダーに入れたコーヒー粉のタンピングは、「パックプレス」を「マルケニッヒ」のグラインダーに連結させることで自動化を実現。バリスタの手首への負担を軽減した。

ラッキーコーヒーマシンの展示ブースで実演するトップバリスタの石谷貴之さん
ラッキーコーヒーマシンの展示ブースで実演するトップバリスタの石谷貴之さん

 「ウォーリーミルク」では、希望のメニューを選択するだけで自動的にフォーミングを行い、均一性の高い高品質なフォームドミルクの提供を可能としている。

 三井倉庫ロジスティクスは3月、スイスの業務用全自動コーヒーマシンメーカー「フランケコーヒーシステムズ」の最新モデル「ミティコ」の発売を開始した。「ミティコ」はほとんどの工程が自動化される一方で、マシン操作中の動作や音、デザインにおいてまるでバリスタが一杯ずつていねいに淹れているかのような臨場感を演出できる点が最大の特長。

 バリスタの所作を再現するための工夫が随所に盛り込まれており、なかでも象徴的なのが「バリスタレバー」。操作のたびに、熟練のバリスタが抽出作業を行っているかのような視覚的・身体的演出を可能にし、機械でありながらも“人の手による一杯”という体験価値を演出する。

 1杯分当たりのコーヒー豆の使用量を減らしたいというニーズにはコーヒー豆をタンピングするタンパー部分にあたる抽出ユニットの口径を変更して対応。「口径は50㎜、43㎜から選択でき、口径が小さいと少ない豆でも厚みが出せてコーヒーの成分が抽出しやすくなる」(三井倉庫ロジスティクス)という。

全自動エスプレッソコーヒーマシン「BRY」シリーズ
全自動エスプレッソコーヒーマシン「BRY」シリーズ

 マシンの設置コストを抑える提案もみられる。

 「アジアで製造を行うことで、ヨーロッパで製造されたマシンと比べて輸送にかかるコストや時間、さらにはLCAでのCO2削減にも貢献。調達リスクの低減と価格競争力の強化をテーマとした」とブルーマチックジャパンの河口雅明社長が語るコーヒーマシンは、「ブルーマチック」ブランド初の全自動エスプレッソコーヒーマシン「BRY」シリーズ。

 電源は100Vと200Vから、給水は水道直結式か4ℓの給水タンク式を選べ、ブリューワーの容量は最大22g。「機能性も抜群」と胸を張る。

 ラッキーコーヒーマシンが昨年発売開始した「ドクターコーヒー」も価格競争力が訴求ポイントとみられる。

 製造元が中国・蘇州市のため、米州・欧州製と比べて輸送のリードタイムが短く、生産能力が高いことも強みの一つとなっている。1日当たりの推奨杯数50~100杯の市場を狙う。

 メリタジャパンはエスプレッソ抽出のコーヒーの利点を顧客に伝えていく。

 「エスプレッソコーヒーは抽出効率が良く、ドリップコーヒーよりも少ない粉量で素早く抽出できる。味わいがしっかりしているため、ミルクと合わせてもミルクの味に負けず幅広いメニューを楽しめる点も魅力」(メリタジャパン)と力を込める。

「ドクターコーヒー」
「ドクターコーヒー」
株式会社アピ 植物性素材