8.4 C
Tokyo
11.1 C
Osaka
2025 / 12 / 25 木曜日
ログイン
English

箱男たち

昨年に映画化が話題になった『箱男』(安部公房)は不思議な小説だ。段ボール箱を全身にかぶって街を彷徨う男の物語――と書けばひと言で済んでしまうが、独特のシュールな雰囲気に終始引き込まれる。随所にちりばめられた実験的手法で「見る側」「見られる側」の関係を描き出した。

▼帰宅途中に電車が一時止まった。隣の駅で客が線路に立ち入ったという。しばらくして「お客様を発見したため運転士が保護に向かいます」とのアナウンス。乗客が窓際に群がる。

▼高架上で佇んでいた客を、運転士が説得して車内に連行。次の駅まで乗客の冷たい視線を浴びながらうずくまっていたのは、大学生くらいにみえる若い男性だ。罵声を浴びせる年配男性や、撮った写真をSNSに上げていると思われる客もいた。

▼本人の事情は知らないが、一方的に「見る側」に回る匿名の箱男たちに囲まれる彼を見て、ふと件の作品を思い起こした。SNS全盛の現代も、作品が発表された半世紀前も、人間社会の構図はそう変わっていないのかもしれない。駅員に囲まれ連れていかれた、彼のその後が気になる。

関連記事

インタビュー特集

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。