米菓各社の主力ブランドが好調に推移している。国産米の価格高騰などのコストアップを吸収すべく、生産品目を絞り込み主力品に集中していることが一因。チョコレートなど他の菓子カテゴリと比較して値頃感があることから定番以外の売場も獲得してアソートタイプの伸びが顕著となった。
亀田製菓は、「亀田の柿の種」「ハッピーターン」「亀田のつまみ種」「無限シリーズ」「技のこだ割り」「こつぶっこ」の重点6ブランドに政策を集中したことが、増収増益基調の前期(3月期)業績に寄与。
この中で「亀田のつまみ種」は、コロナ禍で行動が制限される中、ミックス米菓へのニーズが高まり引き続き好調に推移。「一品一品のクオリティの高さと複数の種類を一度に楽しめるバラエティー感が非常に評価された」(髙木政紀社長COO)と振り返る。
三幸製菓は「雪の宿」「丸大豆せんべい」「新潟仕込み」「粒より小餅」の主力ブランドの伸長に加えて「わが家のテッパン」が絶好調となった。
「わが家のテッパン」は7種の素材の味わいが楽しめる混菓商品。2022年に発売開始以降、急成長を遂げており前期(9月期)は65%増を記録した。
「当社では米菓の新商品を月間10万ケース程度の販売規模へ育成するのには10年かかると言われていた。『わが家のテッパン』はわずか3年でその規模に達した。家飲みのお供として需要を獲得できているようだ」(山下仁社長)との手応えを得る。
岩塚製菓も「岩塚の黒豆せんべい」「味しらべ」「田舎のおかき」「大袖振豆もち」「ふわっと」の主力ブランドが軒並み好調となった。
特に好調なのが「味しらべ」。西日本で最も高い伸びをみせつつ全エリアで販売ボリュームが増加傾向にある。
「『味しらべ』の売上高を第3四半期(3Q)累計でみると前年に対して、前々期が15%増、前期が10%増、そして今期が19%増を記録し勢いが衰えない」(槇大介社長COO*取材時3月)という。
栗山米菓も同様に「ばかうけ」「瀬戸しお」「星たべよ」の主力ブランドが力強さをみせ増収に貢献し前期(3月期)売上高は前年を上回る270億円を見込む。
ぼんちは前期(3月期)、「ぼんち揚」「海鮮揚煎おじゃこ揚げせん」海鮮揚煎えび揚げせん」が2ケタ増で推移し、売れ筋トップの「ピーナツあげ」は5%程度伸長している。
天乃屋の前期(8月期)売上高は11%増の107.6億円。「歌舞伎揚」「古代米煎餅」「おこげ煎餅 醤油味」「もち麦粒ごとおせんべい」「ざらめ煎餅」などの好調が牽引した。

インテージSRI+によると24年米菓市場の販売金額は前年比4%増の2485億円。
インテージ市場アナリストの木地利光氏は「市場規模の増加には、値上げによる価格上昇の影響もあるが、種類別に24年対19年比を見ると、揚げせんべいが23.9%増、アソート品を含むその他が20.2%増と大きく伸長。数量でも底堅く推移していることがうかがえる。コスパよく手軽に準備できるおつまみとしての需要を取り込んでいるものと考えられる」との見方を示す。
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