農産物の不作などに起因する原料高が続く中、メーカーや卸は代替品の活用など、コスト低減へ向けた提案に力を入れている。価格の抑制だけでなく、価値の創出や顧客層の広がりも期待する。
国分西日本はこのほど大阪市で開いた展示商談会で、スーパーの惣菜売場へ向けたコスト対策を提案した。例えば、天ぷらには小さめのサツマイモ、炊き込みご飯には一部が欠けたアサリなど規格外の素材を利用。海苔は生産者から直接買い付けた原料を使用するなどしてコストダウンを図り、“お値打ちデリカ”として販売する。
低温フレッシュデリカ事業部は「値上げラッシュの中、持続的な販売につながる」と話す。コメの高騰に対しては、大麦を加えた米飯により原価低減だけでなく、健康訴求を強め付加価値の向上を狙う。
精麦の石橋工業(福岡県筑後市)は同様に、もち麦に注力する。もともと健康志向を背景に右肩上がりを続けてきたが、昨年のコメ不足以降、需要が急増。特に麦特有の穀物臭が少ない「九州産もち麦」が食べやすいと評価を得て、スティックから大容量のピローへのシフトが進んでいる。
本来は健康のためコメに混ぜて使われていたが、コメの価格が上がった昨今は「茶碗一杯当たりのコストを抑えるため」(同社)に利用される場面が増えた。そこから本来の健康志向も捉え、「新たなリピーターが生まれている」という。スーパーの惣菜や弁当店など、業務筋の引き合いも増えている。

パン粉・片栗粉の雪和食品(千葉県松戸市)はフランス産のでんぷんを使った「冷めてもおいしい片栗粉」を商品化する。北海道産馬鈴薯でんぷんは23年度に過去最低の生産量となり、24年度も作付面積は増えず厳しい状況にある。そのため、国産片栗粉の供給不足が続く。
一般的にヨーロッパ産はとろみが弱いと言われるが、同商品に使われるでんぷんは高い粘性を持つのが特徴。今後も北海道産原料を使った製品の供給難が続くと予想される中、市販用として発売する。同社は業務用中心のメーカーだが、「プロ御用達の商品を安定的に販売したい」と同商品で家庭用の販売を強化する考えだ。
農産物に限らず、飼料の高騰などで畜肉の価格も上がっている。日本アクセスは岡山で開いた展示会で、生鮮売場向けの提案を展開した。このうち畜産は、カナダ産の大貫豚(親豚)を紹介。一般的に硬いと言われる大貫豚だが、スライスや味付などにより食べやすく加工することで、そのイメージを払拭する。担当者は「実際に試食してもらうと好評だった。店頭売価を抑え販売できる」とアピールしていた。
![]() |
![]() |