筆者がたまに利用する「西友吉祥寺店」。数年前まで衣料品などの自社売場を展開していた上層階は、いまや「ドン・キホーテ」をはじめとする専門店テナントが占める。この間に本社オフィスも入居。ここを今後のモデル店舗とする姿勢がにじむ。
▼総合スーパー(GMS)から食品スーパーへ、あるいはSCや専門店化への流れが加速する。先鞭をつけたのが、日本のGMSの始祖・ダイエー。今世紀に入り食品領域への事業集中を進めた。同社を擁するイオングループも、GMSはすでに収益の柱ではない。
▼一時はファミリーマートとの統合体制のもとでGMS再生への道を探ったユニーも、PPIH傘下での「MEGAドンキ」化に活路を見出した。閉店ラッシュが続くイトーヨーカドーは、売却をめぐる今後の帰趨に注目が集まる。
▼そこへきて、今度は西友の売却話である。いよいよGMSは「難しい業態」になってきた。歴史ある店舗の閉鎖が相次ぐ百貨店業界も、同じ構造変化の波にさらされる。「何でもそろう便利な大型店」の役割がAmazonに取って代わられた今、リアル店舗が強みを発揮する食品小売業の存在意義が試されている。