日清食品 安藤徳隆社長 “食のWell-being習慣”を 「冷凍 完全メシ」提案強化

「2025年は『完全メシ』ブランドを中心とした最適化栄養食の展開を含め“食のWell-being(ウェルビーイング)習慣”を積極的に普及していきたい」と話すのは日清食品の安藤徳隆社長。「インスタントフードをもっと便利に、もっと健康的にしていくことを目指す」と力を込める。市販品では、今年は常温食品(カップ麺、カップライス、スムージー等)に加え、冷凍食品もメニューの拡充と売場提案を加速させる。

「完全メシ」は「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求したブランド。同社のフードテクノロジーにより、三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)をはじめビタミン、ミネラル、必須脂肪酸などがバランス良く整えられ、さらに普段の食事と変わらないおいしさも実現している。22年5月末に発売を開始し、売上は24年度70億円、25年度100億円を計画。

このほど開いた25年方針説明会において、安藤社長は「冷凍 完全メシ」シリーズのラインアップ強化について語った。現状、スーパー等では「お好み焼」「ボロネーゼ」「汁なし担々麺」の3メニューを販売しているが、「開発段階ではすでに多くのメニューの“完全メシ化”が終わっている状況」と説明。

「オンラインストア(EC)では『冷凍 完全メシ DELI』としてかつ丼、カレーライス、親子丼、ピザ、炒飯、カレーうどん、ビビンバ、肉まんなど28品(25年1月時点)を展開。24年度の売上は10億円を超える想定で、数年以内に40億円規模への成長を見込む。今後はECの人気メニューを一般ルートで商品化していく」との方針。

その上で、「『冷凍 完全メシ』のラインアップ拡充にあわせ、冷凍食品売場に『ヘルス・ウェルネス専用』のコーナーを提案していきたい」と意気込む。「直近は他社からも減塩や高たんぱく質の冷凍食品が増えている。それらも含め、スーパー等でヘルス・ウェルネス関連の製品を集合陳列すれば、健康を気遣う消費者の食生活に貢献できるのではないか」と話す。

常温食品では「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」などが売れ筋。昨年秋に発売した「同カップヌードル 汁なしシーフードヌードル」もヒットした。25年もロングセラーブランドを生かした新商品や、麺類にとどまらない製品化を検討中。

足元の課題には「『完全メシ』に限った話ではない」と前置きしながらも、原材料費をはじめとしたコスト上昇を挙げる。現状、「完全メシ」は同種の既存品に比べると高価格帯に属する製品だが、「近い将来には買い求めやすい価格を実現したい」と展望。「一般的なインスタントフードに比べてより多くの原材料を使用しているので難しさはあるが、川上の調達から川下の供給までコスト競争力をどう磨いていけるかが課題」とした。

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