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加工食品菓子カルビー、冷凍食品事業に本格参入 100億円規模への拡大を計画 北海道斜里郡斜里町・JAしれとこ斜里と連携し冷凍加工施設を運営

カルビー、冷凍食品事業に本格参入 100億円規模への拡大を計画 北海道斜里郡斜里町・JAしれとこ斜里と連携し冷凍加工施設を運営

 カルビーグループは、じゃがいも(馬鈴薯)の調達力を強化するとともに新たに冷凍加工施設を運営して冷凍食品事業に本格参入する。

 冷凍食品の事業規模は現在、約10億円。アンテナショップ「カルビープラス」で販売される「ポテりこ」とグループ会社のカルビーポテト社がOMEで製造・販売するフライドポテトなどを合算した売上金額となる。

 これを将来、100億円規模に拡大する。1月24日、共同記者発表会に臨んだカルビーの江原信社長兼CEOは「馬鈴薯の付加価値戦略の新たなフィールドと考えている。北海道産の特徴ある冷凍食品がスナック以外の新たな出口となる」と意欲を示す。

カルビーの江原社長(中央)、JAしれとこ斜里の平田代表理事組合長(右)、斜里町の山内浩彰町長
カルビーの江原社長(中央)、JAしれとこ斜里の平田代表理事組合長(右)、斜里町の山内浩彰町長

 その足掛かりとして、しれとこ斜里農業協同組合(JAしれとこ斜里)と馬鈴薯の安定調達と冷凍加工施設の建設・運用を行うことで基本合意した。

 JAしれとこ斜里との共同で約200億円を投じ、北海道斜里郡斜里町で収穫された馬鈴薯を高品質のまま加工する産地立地型の冷凍加工工場ほか、製品倉庫と馬鈴薯貯蔵庫を建設する。

 敷地面積は7.5haを予定。施設はJAしれとこ斜里が所有し、カルビーポテト社が運営する。操業開始は2027年度中を予定する。

 「ポテりこ」などの製造強化を図り、28年をめどに「ポテりこ」を市販する。100億円への売上拡大に向けては、さらなる追加投資を予定する。

 今後は、電子レンジ対応など技術力や営業体制も強化の構え。

 営業体制については「冷凍食品は当然、スナックとはバイヤーさまが異なり、カルビーポテト社の営業人数に限りがあることから、カルビーの営業の活用といったことを考えていかなければいけない」と語る。

 安定調達の方策としては、JAしれとこ斜里がカルビーポテト社の知見を取り入れて省力化などを図りながら産地を拡大していく。

 JAしれとこ斜里の平田隆雄代表理事組合長は「かねてからカルビーさまと取引きしており、約600haの加工用馬鈴薯の畑がある。今後、さらに400ha増やして安定供給していきたい。労働力不足の中、より省力化しながら生産者の所得向上させていくことを目指しながら、カルビーさまと協議させていただいているところ」と語る。

 この連携により年間約4万トンまで原料馬鈴薯の調達が可能となる。

 生産品種は、カルビーポテト社が独自開発した「ぽろしり」と「スノーデン」。斜里町産馬鈴薯の出口は冷凍食品のほかスナックにも回す。

 斜里町での調達量を増やすことで、地球温暖化が深刻化し各産地に悪影響を与えていることにも対応する。

 江原社長は斜里町の産地について「温暖化が非常に進み北海道といえどもかなり暖かくなっている。そうした中で斜里町は北海道の中でも冷涼な地域で、馬鈴薯栽培においては、日照時間と寒暖差の点から好適な気候の土地と言える。加えて、栽培技術向上や品種転換により、品質、収量とも全国トップレベルの産地」と太鼓判を押す。

 斜里町の山内浩彰町長は「カルビーさまと連携することで、斜里町が守り目指している自然との共生、持続可能な地域社会の実践がより進むことができると強く感じている」と期待を寄せる。

 カルビーグループは今期(3月期)、全国で国内生産量の約19%に相当する約38万トンの国産馬鈴薯を調達。気候変動のリスクが高まる中、同グループは持続的な調達に向けて産地の分散化と継続的な品種の転換を進めている。

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